季節の移ろい

移ろいというのは四季を通じて実感する。一年365日を振り返ってはじめて移り変わりがわかる。ところが、3月と4月は月単位で見てもかなり移ろう。三寒四温とは言い得て妙である。さらに、体感のみならず、視覚的にも移ろいを感知することになる。桜の仕業である。

オフィスの目と鼻の先に大川が流れ、年に二度賑わう。船渡御と花火の天神祭りが夏の風物詩。もう一つが今の季節。造幣局の敷地の遅咲き桜の競演を愛でる「通り抜け」だ。先週の火曜日に始まり、今日が最終日。平日、休日に関係なく、天満橋を渡り造幣局の門を目指す人々が長蛇の列を成す。

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桜咲く桜の山の桜花 咲く桜あり散る桜あり

視覚的な移ろいとはこのことだ。咲く桜と散る桜が入り混じる。今年は例年と少々天候が違い、4月上旬には一本の木に花びらと新芽が同居していた。

明治時代の唱歌『四季の月』の「咲きにほふ山の桜の花の上にかすみて出でし春の夜の月」のような風情は、この都会では望めない。屋台の匂いが花の香を吸収してしまう。

七分咲きの桜が満開へと向かう。折り返してから三分散らすと、そこで再び七分咲きになる。咲く一方の七分咲きと散る一方の七分咲きは同じではない。不思議なもので、気配が違い、色艶が違うのがわかる。そして、地表に散りばめられた花片が春の移ろいを教えてくれる。

満開の桜を背景に撮影する人が多いが、散った桜の上でポーズする外国人観光客を稀に見かける。それはそれで旅先での思い出のシーンになるのだろう。