二足のわらじ

時代劇以外でわらじを履いている場面に出くわさないが、「二足のわらじ」という言い回しは今もよく耳にする。英語では「二つの帽子をかぶる」と言う。わらじよりも帽子のほうがよさそうに見えてしまうのは偏見か。ところで、二足のわらじを同時に履くことはない(二つの帽子も同時にかぶらない)。どちらか一方を使っている時は他方に出番はない。しかし、本来二足のわらじは同時に二つの仕事に従事していることを意味する。

TPOに応じて厳密に肩書きを名乗ると、ぼくは数足のわらじを履いていることになる。面倒なので、企画立案業と教育研修業を二つのわらじとし、両方を同等に本業と考えて励んできた。正と副の印をつけろと言われたらちょっと困る。敢えてつけるなら、キャリアが78年長い企画立案業を正とし、教育研修業を副にするのが妥当だろうか。その副に従事し始めてから四半世紀が過ぎた。


かつて自分を売り込んだこともある。しかし、四十を過ぎてから毎年100件前後の依頼をいただくようになった。二日研修もあるから、一年のうち150日近くがんじがらめになり、過労死を恐れてほとんどPRしなくなった。やがて実績への執着も関心も消え失せ、目の前の仕事をこなす東奔西走の日々を送り続けた。

五十代半ばから二泊三日の出張がきつくなった。還暦を過ぎてからは、準備に時間のかかる特注の研修を減らし始めた。また、研修の成果を数値化せよなどという理不尽な要望に付き合い切れず、そんな研修先の仕事は日が合わないなどの理由をつけて断った。その結果、年間50件程度に落ち着いた。その50件のほとんどを7月から11月に集中させ、正である企画立案業に比重をシフトしているのが昨今である。

研修案内 (2)

これからはマイペースで仕事をするぞと目論んでいた矢先、スタッフが「PRすれば講師としてまだまだ売れる!」とぼくを鼓舞し、「研修の提案をしたいからメニューの一覧を作ってくれ」と半ば強制してきた。根が素直なので、二つ返事で承諾してしまい、先月下旬から暇を見つけて毎日少しずつ編集することになった。そして、ついに完成。総数20枚のメニュー一覧である。ついでに記録と記憶を頼りに実績を集計したところ、区切りのいい数字を達成していたことに気付いた。研修・講演回数2,000回、研修・講演テーマ100本、執筆したテキストと作成したパワーポイントスライドショー300種類を超えていたのである。小も積もれば大と為るものだと、それなりの年月を費やしてきたことにちょっとした感慨を覚える。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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