読み書きは断章で㊤

暑中お見舞い申し上げます。読んでくださる方々のために軽い断章。粘りを欠く自分のためにも短い断章。

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大阪発――最低気温が最高  最低なのに最高? すぐには呑み込めなかった。811日(火曜日)の最低気温はほぼ30℃。これは137年前に観測が始まって以来最高気温の記録らしい。一日の最高気温と最低気温が同じではなく、かろうじて数℃差があることにほっとしている自分。

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ガラス一枚  あっちは灼熱、こっちは涼感。ガラス一枚で隔てられる二つの世界。今こっちにいる幸せは、後にあっちにいる不幸を倍増させる。

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『越境する線画』@国立国際美術館  入口に掲示されたイントロ文――

紙のうえに線を引く(……)絵画や彫刻のようなジャンルにはなりえません。構想のため、備忘のため、練習のため、確認のため、等々と、線描は伝統的に「完成」以前の準備段階とみなされてきたからです。

これと同じことが「メモ」にも言えそう。絵画や彫刻の前段階が線画なら、文になる前の未成熟の文字は点メモだ。後世の人たちがメモを集めて『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』を編集した。本人が作品になることを想定していたはずがない。
メモには、決して完成形ではない、中途半端なイメージがまつわりつくが、いつかどこかでメモそのものが完結した文芸のジャンルになるかもしれない。

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餅は餅屋  これが口癖の先輩がいた。ずっと餅。「馬は馬方」とか「蛇の道は蛇」とかに言い換えない。ところで、同じ漢字が二度出てくる慣用句、当たり前のことを言っているにすぎない。いくらでもできる。米は米屋、魚は魚屋、蟻の道は蟻……。「悪人は悪い人」のような同語反復に近い。
同じ漢字を二回使うならもう少し工夫して遊びたい。作ってみた。「人の麺じゃなく、人の米が食いたい」。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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