旬を食す

季節を感じながら旬の食材の食べ頃を見計らうようにしているが、店にいいものがあることが第一で、自分の都合だけではどうにもならない。

近年、春先から目につくようになった西瓜や、まだ残暑なのに店頭に並ぶ松茸に旬は感じない。食材を見てこの季節ならではと思うのはタケノコとホタルイカ。他の時季でも味わえないことはないが、出盛でさかりだと新鮮で味が格別である。タケノコに「筍」という字を与えた発想に敬服する。

筍とホタルイカの酢味噌和え

初物がもてはやされるが、それは珍しいからであって、旬の始まりが必ずしもうまいわけではない。上旬、中旬、下旬と言うように、旬は十日間を意味するが、食材の実際の旬はもっと長く、筍もホタルイカも産地では3月から5月まで楽しめる。


産地へ行かないと口に入らない旬の食材がある。一度、旬が短いとされるメジカの新子シンコを高知で食した。タイミングよく9月上旬に出張があった。生後一年未満のソウダガツオの幼魚だが8月から9月にかけての一カ月間が旬。一カ月なら短いとも言えないが、その時季に毎日店が仕入れて出すとも限らない。その後何度も旬の季節に当地を訪れているが、以来巡り合わない。

季節の産物が出盛るのは、需要と供給の法則通りになるので消費者にとってありがたい。旬というのは、本来、手に入りやすい、安い、うまいの三拍子が揃うもの。だから、ステイホームばかりしていては機会損失することになる。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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