日々のいくつもの事実

📅 ちゃんぽんを売りにしている中華料理店のホール担当は、小柄なおばさんで年齢はおそらく60代後半、いつもいるがたぶんバイト、声は大きくややかすれている。

グラスを持ち上げて水を飲み、グラスを戻して数秒後に「おぎしましょうか?」と寄ってくる。頷くと飲んだ分をすみやかに注ぐ。グラス内の水量がずっとおばさんにチェックされている。ちゃんぽんを食べ終わるまでにこのルーチンが数回続く。飲み干した後に爪楊枝を手にしたりすると忍者のように駆けつけてきてグラスを満タンにする。だから最後に水を飲んだらすぐに立つ。店内約20席。今は密を避けているので最多で10席だから、おばさんにとっては楽勝。

📅 ポケットに手を入れたら丸い金属に触れた。五百円硬貨だった。ポケットの中に見つける想定外の五百円硬貨には、普段小銭入れに入っている想定内の五百円硬貨にはないサプライズ価値が付加されている。ちなみに百円硬貨を見つけてもこんな文章を書こうとは思わない。

📅 「人々を動機づけるクリエーティブな方法を生み出そう」と平気な顔をして自称クリエーターが言った。「新鮮な感覚を与える独創性」はあるかもしれないが、それをクリエーティブという、すでに新鮮さを失ったことばで呼んだ瞬間、クリエーティブな方法など絶対にないと確信する。

📅 「やましいことなどない!」と語気を強める者がやましくなかったためしはない。そして、声の大きさに比例してやましさの度合が増すのも事実である。

📅 街頭でインタビューされる一般通行人が「いっぱい」と「一番」をよく口にする。世代に偏りはない。「コロナが終息したらみんなに会いたいという思いでいっぱいです」、「今は早くコロナが終わって欲しいという気持が一番です」という具合。いっぱいと一番を抜いてもほとんど意味は変わらない。つまり、「いっぱい」と「一番」に特別な強調効果があるようには思えないのだ。おそらくインタビューを受ける人たちは、「~という思いです」「~という気持です」ではぶっきらぼう感を覚えるのだろう。そして、一言足す。その蛇足に「思いがいっぱい」と「気持が一番」が選ばれている。

プロ野球選手もヒーローインタビューで「あの場面では打ちたいという気持が一番でした」と言う。一番があるのだから二番もあるはずだが、今のところ「では、二番は?」と聞いたインタビューアーはいないようだ。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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