ひらめきに関する一問一答

ひらめきのエピソードとしてはアルキメデスの入浴がよく知られている。ある日アルキメデスが気づく、「湯に浸かると浴槽の水位が上がり、水位が上がった分の体積と湯の中に浸かっている身体の体積が同じである」と。アルキメデスは“Eureka!”と歓喜して、裸のまま浴槽から飛び出したアルキメデスはギリシア人だからギリシア語でそう叫んだ。ひらめいた時に感嘆する「わかった!」という意味である。

日本語では表記ゆれがある。原語に近いのがエウレカらしいが、学校の教師はユリーカと発音したし、その他にユーレカやユーリカもある。現代思想の月刊誌のタイトルは『ユリイカ』だ。

ひらめきを象徴するシンボルにはバリエーションがいろいろあるが、基本は電球のイラスト(💡)。ピカッと光った瞬間の電球や、ピカピカと光っている様子の電球が描かれることが多い。

さて、企画の研修をしているので、研修後に企画についての質問がメールで届く。質問をまとめて「企画相談箱」というファイルに入れてある。今日は、ひらめきとアイデアに関する一問一答を簡略化して紹介する。


Q1 アイデアがなかなか浮かびません。どうすればいいでしょうか?

A1 勘違いしないように。アイデアは浮かばないものだと考えておきましょう。たまにひらめいても、そのひらめきを見過ごしてしまうことが多い。自分のアタマの中で稀に起こるアイデア誕生の瞬間に立ち会うためにいつも気に留めておくこと。自分のアタマの面倒を見るだけで大変なので、人のアタマの中を気にしている暇はありませんよ。

Q2 複数のアイデアを書き出せたものの、どの方向にするかなかなか決めることができず、時間が過ぎるばかりです。

A2 「物が人間を惑わすのではない、物の見方が惑わすのだ」。古代ギリシアの哲学者、エピクテトスの言です。これにならえば、アイデア側の問題ではなく、自分の見方が定まらず、心がぶれたり戸惑ったりしているということになります。それぞれのアイデアの言い分に耳を傾けましょう。人は何かを生み出すよりも何かを評価して選ぶほうがぎこちないもの。M-1グランプリの審査を見ていたらわかりますね。

Q3 企画では、立案そのものよりもひらめきのほうが重要と考えていいのでしょうか?

A3 立案のきっかけになるのはひらめき(着眼や発想)です。ひらめきは気まぐれなので、努力や知識の量に比例しません。他方、案を仕上げていく上では構成の力、理屈や緻密な計算が必要です。ひらめいてから案をまとめるには必ずある程度の時間がかかります。ひらめかなければ何も始まりませんが、ひらめいてからの企画の仕上げでは絶対に手を抜くことができません。

〈続く予定・・

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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