散歩道の眺めと気配

110日、中之島バラ園を横切る。「養生中」のメッセージ。恒例の芝焼きは終わっていた。この時期、バラは咲かない。と言うか、植えられていない。名札だけが立っている。
バラもいいが、バラの名称はもっといい。名札ばかり見て歩くこともある。一昨年に発見した2品種、ストロベリーアイスとトロピカルシャーベットは夏仕様のネーミングだ。これにバニラソフトが加われば言うことなし。
バラ園に咲くバラだけがバラではない。春から秋にかけて、淀屋橋から肥後橋の川沿いの遊歩道でもバラが咲く。

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ほんのわずかに日が長くなったような気がしている。午後5時頃の明暗からそう感じるだけでなく、寒中に潜む春の気配のせいもある。
散歩道に日時計がある。たとえば午前10時半を示しているとする。
腕時計かスマホと照合する。日時計の精度が信頼できないからではない。誤差は想定内だ。「だいたい」「頃」「およそ」と言っておけば誤差に大らかになれる。時間に追われる散歩は散歩ではない。

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新年になったのに今も旧年を引きずる夜の光景がある。イルミネーションやライトアップである。晩秋から点灯するのはいいが、大晦日で打ち切りにするべきではないか。明るくて華麗なことにケチをつけるつもりはない。ただ、年が明けても光っていては気分が一新されないと思うのだ。

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散歩していると、まず景色が見え、次いで風景が見え、最後に景観に目がいく。この順で概念が小さくなり、視野も変わる。都会の景観は人工的であり文化的である。風景に森はないが植樹された木々はある。マイペースのそぞろ歩きに向いているのは、建物や構造物の間に木々が点在する街路だ。飛び石伝いならぬ、飛び木伝い。

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一年を通じて一番好きな陽射しはこの季節の陽射し。ガラス窓越しの南西からの光だ。暑さには決して至らない、やわらかいあたたかさ・・・・・。「暖かさ」と表わすよりも「温かさ」と表わしたい。陽射しの他に、スープも心遣いも懐も温かいのがいい。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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