簡単そうなのに、うまくいかない

おおってあるものを外し封や蓋を開けて中のものを取り出す。毎日とは言わないが、このように手先を使う場面は少なくない。外して開けて取り出すという一連の動きがスムーズに流れれば気分がいい。逆に、少しでも滞って所作がぎこちなくなるとイライラする。手先は器用なほうだと思うが、些事で時々不器用を演じてしまうことがある。


乾電池が4個または2個、フィルムでパックして売られている。単3電池の4個パックは両手で持って2個ずつ分離するように真ん中で折れば、フィルムが簡単に破れる。ところが、一回り小さい単4電池の、しかも2個パックになると、同じ要領で試みても1個ずつに分離しづらい。力が伝わりにくくフィルムがなかなか破れてくれないのだ。4電池の2個パックのフィルム破り、侮るべからず。爪を当てて切ろうとしてもうまく行かず、結局ハサミを持ち出してくることになる。

かけうどんをテイクアウトする。熱々のダシとうどんだから、オフィスに戻ると発泡スチロールの鉢にプラスチックの蓋がぴったり吸着している。蓋のツメをつまんで持ち上げても鉢もいっしょに付いてくる。不用意に力を入れ過ぎると蓋が思い切り開いて、熱いダシがこぼれ散り、「熱っ!」 年配のバイトのおばさんが手際よく蓋をしたのだから、理屈上はその逆の作業をすれば手際よく開けられるはずなのに。火傷を免れたとしても、うどんといっしょに敗北感も味わう。

古本屋で背表紙を眺め、題名がよさそうなら手に取ってみる。それが函入りの上製本だったりする。本をチェックすべく函から取り出す。たいてい函と本の間にはほどよい「遊び」があるので、背に近い溝をつかんで取り出すことができる。右手で函を持ち左手のてのひらにトントンと当てれば、たいていの本は滑り出してくる。
しかし、函の内寸と本がぴったり合っているものがある。
本が函にキレイに収まるという超絶技巧ゆえに、指先が背表紙のどこにもかからないのである。必死に取り出そうとトントンしてみてもびくともしない。見られたら怪しまれるほど、本との格闘がますます派手な動きになっていく。こんな本を買うと読む前から苦労する。そう自分に言い聞かせて元の本棚に戻す。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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