最高と最低の話

 えー、毎度ばかばかしいお話でございますが、今日もいつもの連中の談義を一つ。いやー、談義なんてほどのもんじゃありません。ていやんとコーちゃんと流行(はや)らない居酒屋の主人がぐだぐだ言う、ただの与太話です。

 主人 「いつものやつ、やらないの?」

 ていやん 「 やれと言われりゃ やってもいいわー」

 コーちゃん 「なんだそれ、どっかで聞いたことのある演歌だな」

 主人 「ていやんから行きますか?」

 ていやん 「はいはい。では・・・・・・FAで巨人に行くアニキ金本!」

 主人 「わあー、そりゃ最低だわ!」

 コーちゃん 「安いトレードマネーでダルビッシュを獲得する阪神!」

 ていやん 「それ、めっちゃ最高やん! ついでに斎藤もつけといたれ」

 主人 「二人とも、ただの阪神ファンじゃないの」

 ていやん 「東京から新幹線を乗り継いで鹿児島まで視察に行く国会議員!」

 主人 「最低だね! この時期、特に最低! でも、実際にいそうだな」

 コーちゃん 「国会議事堂と議員宿舎を避難所に!」

 ていやん 「その通り! それ最高! ええこと言うなあ」

 コーちゃん 「大将も一つ、最高のやってよ」

 主人 「いきなりですね・・・・・・ええと・・・・・・。はい、京都で花見!」

 ていやん 「あかん、それふつうや。感動ないわ」

 コーちゃん 「大将ね、ていやんはそんなのではしゃがないよ。ていやん好みは・・・・・・喫茶店でモーニングを頼んだら、厚切りトーストにゆで卵2個!」

 ていやん 「ツボ知ってるなあ。そんなんあったら、最高に決まってるがな。ほな最低をもう一つ。喫茶店の優待券持っていったら、コーヒー代が倍になった」

 主人 「最低に決まってるじゃないですか!」

☆ ☆ ☆

 主人 「いつも思うけどね、最高と最低という具合にやれば案外あるもんですね。逆に、オレの言った京都で花見のような、ふつうのほうがあまりないんじゃないの?」

 コーちゃん 「そんなのいくらでもあるさ。阪神に来ないダルビッシュ。これふつう」

 主人 「さっきの裏返しただけ」

 ていやん 「薄切りトーストにゆで卵一個のモーニング」

 主人 「それも同じ! ほら、二人ともふつうに苦戦してるじゃないっすか。ふつうがなかなか見つからない時代なんだなあ」

 コーちゃん 「ちょっと作戦タイム」

 ていやん 「ふつうなんか、なんぼでもあるで。朝起きてメシ食べる。蛇口から水出る。それで顔洗う。電車に乗って会社に行く。もよおしてきたからトイレに行く。昼は安いうどんを食べに出る。機嫌の悪い上司に怒られる。怒られるけど、こましな仕事したら褒められる。夕方になって、『一杯行こか?』と聞かれて、『いや、今日はやめとくわ。明日の朝は早いねん。子どもとな、山登りに行くねん』て言う。山に行って、おいしい空気を吸う。歩いたら汗が出る。野鳥が鳴いてる・・・・・・それから」

 主人 「わかりました。ふつうがいいなあ・・・・・・ある種感動的」

 コーちゃん 「ふつうはいくらでもあるけどさ、オレたち、気づいてないよな」

 ていやん 「よっしゃ、終わろか。食い逃げという最低もせえへんけど、チップという最高もないで。大将、ふつうのお勘定して」

 主人 「はいよ。それで、コーちゃんは週末どうするの?」

 コーちゃん 「そりゃ、京都で花見でしょ」

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proconcept

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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