サンフランシスコ日記(1)ケーブルカー

たまたまJulie London I Left My Heart in San Francisco”(思い出のサンフランシスコ)を聴く機会があり、ふと拙い滞在記を2009年に綴ったのを思い出した。そのサンフランシスコ滞在記を加筆修正して5回にわたって投稿する。


6月のある日の午前11時半、サンフランシスコ空港に到着した。海岸近くのジャイアンツスタジアム前を過ぎて名所となっている坂に入る。想像以上にきつい勾配の坂をタクシーは勢いよく駆け上る。市街のもっとも高い丘の一つ、ノブ・ヒル(Nob Hill)の一角にあるホテルにチェックインした。

荷を解いて休む間もなくホテルを出て近場を散策することにした。にわか土地勘を得てから、最寄りのケーブルカー乗り場へ。とりあえずフィッシャーマンズ・ワーフ(Fisherman’s Wharf)を目指そうとしたが、待つこと10分、15分、20分……待てどもやって来ない。人はどんどん増えてくるが、ケーブルカーの上ってくる気配はまったくない。

焦れてきたので、10分ほど下り坂を歩いて発着駅へ行ってみた。何か事故があったらしく、乗車待ちの客で長蛇の列ができている。ケーブルカーが何台も連なって動かず、発車待ちの状態。激しい空腹を覚える。近くのショッピングモールに駆け込み、ホットドッグとプレッツェルのシナモンスティックで腹ごしらえした。戻ってくると、ケーブルカーは動き始めていた。

乗車料金は15ドル。かなり割高だ。と言うわけで、18ドルの3日間チケットを購入した。これを使えば、ケーブルカーも市内の地下鉄もバスも何度でも利用できる。乗り放題チケットで心強くなり、方々へ乗り継いでみる気になった。

とりあえずパウエル駅からノブ・ヒルへ戻り、そこから坂を下って海岸へ。海辺は思ったほどの賑わいではない。日本人らしき観光客は何組かいるが、ツアー団体客は見当たらない。そう言えば、残席わずかと急かされて予約したユナイテッド航空の関空発の便はがらがらだった。この時期にしては珍しいインフルエンザの影響があったのか。

明日もう一度来ればいいと思い、フィッシャーマンズ・ワーフは中途半端に歩かずに、ホテルに戻ることにした。ホットドッグのせいもあってカニやエビの海鮮屋台に食指は動かなかった。気がつけば、日本時間なら午前9時。もう24時間以上寝ていないことになる。

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ホテルから見るノブ・ヒルの光景は乾いて澄み切っていた。
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星条旗がなびく建物が宿泊したホテル。到着日の午後は好天、しかし風が強く、とても6月とは思えない寒さだった。
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車両か事故のトラブルが解決して、ケーブルカーがようやく発着駅に入ってきた。
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木製の円盤の上に車両を載せた後は、係員が手動で回転させてケーブルカーの向きを変える。
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フィッシャーマンズ・ワーフの「玄関口」。
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湿気がないせいか、フィッシャーマンズワーフでは海特有の潮の匂いが漂ってこない。
鐘を勇ましく鳴らしながらケーブルカーが疾走する。
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「ケーブルカー鐘鳴らしコンテスト」の開催案内。運転士がテクニックを競う。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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