カリフォルニア州はゴールデンステート(Golden State)という愛称で親しまれている。つまり、「黄金の州」。アメリカの州にはすべてこのような愛称がある。学生時代にいくつか覚えた。たとえば、ニューヨーク州がエンパイアステート(Empire State=帝国の州)、フロリダ州がサンシャインステート(Sunshine State=日光の州)という具合。
傑作はミズーリ州だ。この土地の人たちは疑い深いということになっていて、誰かが何々を持っていると自慢しようものなら、「じゃ、見せてくれよ」と言う。なので、ショーミーステート(Show Me State)と呼ばれる。アロハステート(Aloha State)ならハワイ州というわけ。さしずめ「県民性コンセプト」といったところだ。
さて、初日の夕方。ホテルのレストランに心が動かず、ケーブルカーで近くのスーパーへ買い出しに。行きが急な坂なのでケーブルカーに乗る。チキンのローストとサラダとパンを買って部屋で食べる。
食後にカリフォルニア通りの坂を下って東側の海岸を目指した。下りだからぶらぶらと30分くらいは歩ける。途中、中華街を探訪したが、横浜のほうが大規模で活気があるように思う。さらに下ると、オフィス街。そこを抜けて周回バスの乗り場を探したが、あいにく地図が手元にない。誰かに聞けばそれまでだが、ま、いいかと気まぐれにフェリーターミナルまで歩いた。ちょうどいい時間に夕暮れ空が見られたので、歩いて正解だった。
二日目の朝。時差ボケはない。近くのカフェでモーニングスペシャルを注文する。トーストと卵2個のスクランブル。さて、どこへ行くかと少々思案して、ドロレス伝道院(Mission Dolores)に決めた。ホテルからはケーブルでパウエル駅を経由して地下鉄で4駅目。後でわかったことだが、地図に間違いがあり、方向を誤って歩き始めていた。通行人に道を尋ねたが、スペイン語の単語のアクセント位置がよくわからない。「ミッション・ドロレス」と文字面通りに発音したら首を傾げられ、「ミッション・ドローレス」と言い直して通じた。場所は探すまでもなく、目と鼻の先だった。
カリフォルニアにはこのようなミッションが21もあるという。ここが州内最古の建物で、もらったリーフレットには年代的には1791年完成と記されている。但し、この地に入植しミッションが始まったのは建国年の1776年に遡る。あまり細かなことはわからない。白壁の装いからスペインの影響を見て取れる。伝道院から徒歩、ケーブル、バスを乗り継ぎ、再度フィッシャーマンズ・ワーフを目指した。ピア39(39番埠頭)からの話は次回。