身近な誤情報

どちらかと言えば、取るに足らぬ一件である。言い間違いだったのか聞き間違いだったのか、勘違いだったのか、あるいはそれ以外の理由だったのかはわからない。結果的に誤情報だった。

愛用ノート用に書き味のよい水性ボールペンをずっと使っている。色はブルーブラック。大それた理由はない。黒や青よりも落ち着くから。太さは中細の0.5ミリ。太めの0.7や細めの0.38も使ってみたが、インクの出がスムーズで書き味がよいのは中細。紙質を選ばないのも気に入っている。

先日、卸売兼小売業態の、品揃え豊富な大手文具店で替え芯を探したが見当たらない。五万とあるから見落としもある。店員に尋ねたところ、「そのタイプには替え芯がありません」と言う。ブルーブラックはあまり人気がなさそうなので、製造中止になったのか。「本体はそのまま売っているが、替え芯がなくなった。つまり、使い捨て?」と念のために聞いたら、自信満々にうなずいた。

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たしか替え芯が60円で、それを買えば本体はずっと使えていたのである。しかし、それも数ヵ月前の話、品切れのめったにない大手文具店がそう言うのだから間違いないだろうと思い、数日後にインクがなくなったので本体を捨てた。替え芯がなければ本体を持っていてもしかたがないからだ。

別の水性ボールペンを何日間か使ったが、インクは出るが調子が出ない。本屋に行ったついでに同じフロアーの小さな文具店に寄った。本体はすぐに見つかった。レジで差出し、「このペン、替え芯が製造中止になったらしいですね」とつぶやけば、「ありますよ、替え芯」と言うではないか。あの大手、在庫切れと言ったのか……いや、もう替え芯がないというニュアンスだったぞ……。

「じゃあ、替え芯もください」。レジの女性、「私の勘違いだと困りますから、もう一度チェックさせてください」と慎重に型番をもう一度照合してくれた。「間違いありません。替え芯は何本ご入り用ですか?」 商品があるのなら何本もいらない。本体と替え芯一本を買った。考えてみれば、欲しかったのは替え芯である。替え芯を使うために本体を買うという構図になった。

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proconcept

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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