語句の断章(22) 欲張る

人は何でも欲張るが、現代人がむさぼる最たるものは情報である。手に入れるくせに手に負えない。それを承知のうえで情報を欲しがる。欲しがるが消化がままならない。まるで胃袋がギブアップしているのに焼肉食べ放題に耽溺するかのよう。

焼肉食べ放題には時間制限があるが、情報取り放題にリミットはない。それが逆に怖い。それゆえ、情報の取捨選択にはつねに細心の注意を払っておかねばならない。時間にも量にも制限を設け、取り込んだ情報にフィルターをかけてどんどん引き算して捨てることを忘れてはいけない。

しかし、情報を他者へ伝達する段になると、引き算がうまく機能せず、ややもすると足し算になってしまう。伝達情報をうまく絞り切れないのだ。与えられた時間では収まらないほどの、他者の受容と理解を優に超えるボリュームを欲張ってしまうのである。

仮に情報のインプット時に自己抑制が働いたとしても、アウトプット時には容易に情報がオーバーフローしてしまう。

料理をふるまうのに似て、少し多めであることに悲観することはない。ただ、情報提供のおもてなしやサービスの行き過ぎは慎むべきだ。誰もが日々嫌と言うほど情報を詰め込まれている昨今、情報の満願会席は必ずしも歓待にならないからである。

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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