読書と書評の一つの試み

せっかく学びに励んで活性化したアタマを鈍らせてはいけないとの思いから、私塾の休講期限定で“Savilna!”という有志によるミニ勉強会を始める。テーマは、(1) 最近読んだ図書の書評と、(2) 形而上学的な論題の論争の二つを取り上げる。1月、2月、4月、6月に(1)の会読書評会、3月、5月に(2)ディベートを予定している。

  

 Savilna!――それは「錆びるな!」という日本語である。アタマを錆びさせない手っ取り早い方法は読書だ。できれば、読んだままにせず、抜き書きしたり自分なりにまとめるのがいい。さらに理想を言えば、自分の書評を誰かに読んでもらうか聞いてもらうのがいい。以上のような理由から、会読会を思いついた次第である。来週月曜日に第回を開くが、欠席が何名か出そうなので78人の門出になる。メンバーのうちMさんとTさんはこの勉強会をブログで取り上げるほど気合が入っている。景気づけのためにメンバーの皆さんに次のようなメッセージを送った。


ぼくはすでに書評を二週間前に書き終え、現在は「熟成」させているところです。啓発的な図書の場合、どうしても共感的に読んでしまうことが多いので、読後にしばらく寝かせるのがよろしい。寝かせているうちに、いいところは熟成が進みます。同時に、異論や批判的意見も芽生えてくるものです。

  

新聞紙上の書評は読者に読んでもらうきっかけを作ります。Savilna書評は、メンバーに読んでもらわなくてもいいようにするものです。「原書を読む以上に私の書評はおもしろいし、ためになりますよ。知らないと損ですよ』というスタンスです。

  

書評には、(1) 図書のテーマと内容を集約して紹介し、それに評論をおこなう、(2) ここぞというくだりをそのまま引用して紹介し、それに注釈またはコメントを付ける、という二つの方法があります。いずれの場合も、評者として主観的に述べることは大いに結構ですし、同時に読者サイドから見た学びどころが客観的に紹介されているとなおよしです。

  

肩肘張らずに、15分~20分で書評をしてください。大いに楽しみですし、一献傾けながら、異種書物間に知的クロスを架けるのが、これまたおもしろいのです。

 


ぼくの書評は引用を主体にしているが、引用しながらも随所に自分が触発されたり感心した事柄も紹介している。自分自身の考えを足したり、やや批判的な視線も投げ掛けたりもしている。二週間前に書き終えているのだが、大変なことを思い出した。当初のルールで、書評をレジュメにして配付する場合はA4判一枚と決めているからだ。ぼくは三枚以上書いて、のほほんとしていた。現在出張中なので、時間はある。だが、選定図書は手元にない。書評もオフィスのPCに入っている。明日の夜に帰阪するが、帰ってからの週末、書評の約70パーセントを削ぎ落とす作業が待つ。それは、読むこと・書くこと以上の試練を意味する。