麺に関するコンセプト雑談会

「迷たら麺、迷わんでも麺。ノーメン、ノーライフや!」

個性と言うか、コンセプトと言うか、麺にもいろいろある。そんな話をしよう」

「麺の個性? うまいの一言で十分やろ」

「それは粗っぽい。饂飩うどんはうまい、蕎麦そばはうまいだけでは特徴が言えていない」

「全種類の麺で特徴探しは無理。うどんとそばとパスタでどうや?」

「似て非なるライバル関係のうどんとそばは比較しやすいが、種類の多いパスタは絞らないとダメだろう」

「パスタ代表としてマカロニを指名!」

「いいねぇ。饂飩と蕎麦も相手に不足はないはず」

「饂飩と蕎麦とマカロニ。三つ並べたら、饂飩が普通と違うか」

「勝ち負けじゃないから、ノーマルでいい。現実的で常識的で親近感があるのが饂飩の良さ」

「マカロニはお調子もんやな。笑わせる。対して蕎麦はクソ真面目」

「言い換えると、マカロニはドラマチックで、蕎麦はドキュメンタリー」

「蕎麦は知的やなあ。どこまでも理性的。データもエビデンスも持っとるような感じ」

「マカロニは正反対。感情的で印象を重視している」

「マカロニはちょっとセクシーや。さすがラテンの血を引いとる。蕎麦はプラトニックに命を賭けとる。人として見たら面白味に欠ける」

「なんだかマカロニと蕎麦の対抗戦みたいになってきた。饂飩の話が出てこない」

「それが饂飩のええとこや。夢ばっかり見てるマカロニは幼いと饂飩は思とるはず」

「饂飩の良さは中庸にあり、か。愉快と真面目の間、理性と感性の間、硬派と軟派の間……という具合」

「硬派と軟派の比較なら、蕎麦が硬派でマカロニが軟派で決まりや」

「饂飩と蕎麦の類似性って、ブレない型があることだな。マカロニは型破りだから」

「いやいや、型を破って何百年も経ったんやから、型破りがマカロニの型なんや」

「なるほど。マカロニは熱い生き方をしてきたわけだ。それなら蕎麦はクールに生きてきた。で、饂飩はどっちにも偏らず中道を歩んできた」

「蕎麦打ちの性格が蕎麦を作ってきたのとは違う。蕎麦の個性が蕎麦打ちを育ててきたんや」

「饂飩の打ち手は饂飩の影響を受け、マカロニ職人はマカロニから学んだ……こういうことかな?」

「知り合いにマカロニみたいなやつがおるわ」

「コンセプト雑談、そろそろこのあたりでまとめとするか。一覧表作って、蕎麦でも食いに行こう」

「そやな。軽く一杯となると、饂飩もマカロニも蕎麦には勝てん」

 

投稿者:

アバター画像

proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です