特急車中のメモを読み返す

言いっ放し、聞きっ放しはよくある。文字でなく音声だから、言ったり聞いたりするそばから消える。しばらくすると何を言ったか何を聞いたか忘れている。文字の場合は消えずに記録に残るが、書きっ放しのまま放置しては意味がない。時々読み返してこそのノートである。下記は先週の出張時の特急車内で記した歪んだ文字のメモの書き起こし。


📎 促されるままアプリをスマホにインストールすることがある。気づけばかなりの数になっている。ふと、人生も無数のアプリで出来ているのではないかと思う。「アプリ人生」または「人生アプリ」。

📎 リーダーは孤独か否か? という雑談をした。孤独の時間もあるだろう。しかし、仕事では会議や打ち合わせが入る。プライベートでは、仲間から声が掛かる、自ら仲間を呼んで会う。一緒にメシを食い飲み屋にも行く。知り合いのリーダーはいつもワイワイガヤガヤやっている。孤独を噛みしめる時間はあまりなさそうだ。孤独が似合うリーダーが少なくなった。

📎 まだ一度も使っていないフランスの土産のことを思い出した。パリ郊外のフォンテンブロー宮殿で買い求めたらしい。ナポレオンが愛したグラスとか。たしか“N”のレリーフが入っていた。今年の夏、使ってみようと思う。

📎 とある中華料理店のメニューに、しばらく消えていた一品が戻ってきた。やや辛めのビャンビャン麵がそれ。最初の実食時に好奇心から漢字を覚えてみたが、今はすっかり忘れている。

📎 「うまいものを食べるのではない。食べたものがうまいのである」と食後にいつもつぶやく。食材と料理への感謝のしるし。

📎 「天ぷらは親のカタキに会ったように食べろ」と言ったのは池波正太郎。まあ、どんな料理も出されたら、なるべく早くいただくのがいい。先日、カツオのタタキをそんなふうに食べた。親のカタキ、カツオのタタキ、合わせて親の肩たたき。

📎 副次的なディテールがうまく行っても、大局を誤っていると話にならない。大局がディテールよりもすぐれていると断言するつもりはないが、ディテールに配慮する心遣いが大局にはある。大局観は粋なのだ。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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