ランチのこと、町中華のこと

たわいもない外食談議の折に気づいたこと。粉もんのメッカ大阪の、歴史のある住宅街でありオフィス街でもあるのに、うどん店が一つ消え二つ消え、今では徒歩圏内にはない。チェーンの店ならあるが、昔ながらの麺類一式を扱ううどん屋が見当たらないのだ。

うどんはないが、蕎麦屋は有名店も含めて56店ある。カレーとラーメンは十数年前から超激戦区なので、それぞれ10店舗は下らない。粉もんのお好み焼きと焼きそばもカレーとラーメンに次いで多い。洋食店はまずまずあるが、和食処は減った。

ここ3年出張が減って、オフィスでの弁当や近くの店での食事が増えた。ランチタイムはたいてい一人で出る。即決できそうだが、自由度が高いと逆に迷う。そして、先週と先々週に食べたものを振り返っているうちに、迷った末に中華を選択することになる。

ところで、大衆的な町中華の原点は青少年時代の「若水」という店の中華そば一択。ラーメンではなく、中華そばという呼び方が習わしだった。今思えば「五香粉」の、八角と山椒と丁子ちょうじを混ぜたような焼豚かメンマの独特の香りを漂わせる中華そば。


中華のメニューは他のジャンルよりも圧倒的な種類を誇る。麺類や飯類はもちろん、スパイス料理や揚げ物・焼き物・煮物もある。店を中華に決めるのは簡単だが、入店してから迷い始める。日替わり4種、週替わり2種だけならいいが、中華料理店のメニューは昼夜の別がないので、メニューの定番料理は昼でも注文できる。選択肢が多すぎる。

ワンタンメンと半チャーハンのセット(焼売2個付き)
醤油ラーメンと半チャーハン

迷わないようにと、どの店でも麺と半チャーハンのセットにしようと決めたことがある。店によって味が変わるから飽きないだろうし、値段も700円~850円とお得感もある。しばらく続ければ麺と半チャーハンの食レポができるかもしれないとも思った。

週始めに2日連続注文した。月曜日に入った店では日替わりの海鮮XO醤炒めに心を奪われながらも半チャーハンセットを指名。火曜日の店では日替わりの酢豚定食を我慢して、この日も初心貫徹。2日にわたるこんな食べ比べは生涯初だ。月曜日の店のチャーハンは決して「半」ではなかった。ラーメンスープの味はだいぶ違ったが、どちらも味は濃厚だった。

3日目の水曜日。中華料理店に行きかけたが、和食店の店頭に並んでいる天ぷらと惣菜の弁当を買った。濃いスープの麺と、「半」とは言え少なからぬ量のチャーハンを3日連続狙い撃ちするほど麺とチャーハン好きではない。世の中には、ランチ処には、そして中華料理店には、毎日注文を変えてみたくなる料理がいろいろあるのだ。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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