肉料理に肉の名がつくように、魚介料理には魚介の名がつく。ところが、牛・豚・鶏などの肉類と違って、魚介の名にはローカル色が強く出る。クロダイをチヌと呼ぶ土地があり、ブリは大きさや地域によって、ワカシ、イナダ、ワラサなどと呼び名が変わる。広島県の備北で食べられるワニの刺身は、あの爬虫類のワニではなく、サメやフカのことである。水産国だけに魚介類の語彙は豊富だ。
特に意図したわけではなく、単なるめぐり合わせで先週は魚介料理を食した一週間になった。どれも予算1,000円以下のお手軽ランチ。
🥢 カサゴの唐揚げ
カサゴが売られていたので買い求め唐揚げにした。この魚にはガシラという別名がある。グロテスクな魚で頭部の特徴が際立っている。見た目と違って白身は上品。しっかり揚げても太い骨ごとガッツリというわけにはいかない。ご飯のおかずにするなら煮付けがまさる。
🥢 イカと野菜のXO醤炒め
イカは万能の食材である。真剣に向き合えば、料理のレパートリーが広がる。イカは好物だが、稀にしか食べない中華料理のイカが好み。日替わりが「イカとブロッコリー」や「イカのXO醤炒め」などと知れば、躊躇なく指名する。中華ならではの包丁の入れ方が美しい。
🥢 海鮮丼
若い頃のワクワクしたご馳走感はなくなったが、海鮮丼にネタがいろいろ乗っているだけでいい店だと評価してあげたい。海鮮丼のご飯が「白飯か酢飯か」という目立たない論争があるそうだが、別にこだわらない。海鮮丼は醤油とわさびの使い方が厄介である。
🥢 チュクミポックム
韓国料理はいろいろと食べてきたが、これは初。イイダコの辛味炒めである。覚えにくい名前なので撮った写真に注釈をつけておいた。イイダコはさほど安い食材ではないのに、5匹も盛られていた。ところで、魚介とは「魚と貝」なので、先のイカもこのイイダコも、正しく言うと、魚介ではない。しかし、精度を期すまでもなく、どんなものが魚介、海鮮、シーフードの食材であるかは、供する人と食する人どうしはよくわかっている。