街中の崖っぷちを歩く

特定の駅周辺の史跡を巡る『まちさんぽ』というリーフレットがある。Osaka Metroが毎月1発行しているのを一昨年知った。昨年7月に「谷町線/野江内代のえうちんだい駅」周辺のコースを歩き、今回は「谷町線/阿倍野あべの駅」のリーフレットを参考に歩くことにした。

今回は阿倍野駅周辺巡りではなく、そこをスタート駅としてゴール駅「堺筋線/天下茶屋てんがちゃや駅」を目指すコース設定になっている。阿倍野駅周辺はよく知る場所なので、そこからスタートしても新鮮味がない。と言うわけで、Osaka Metroの企画意図に反して、天下茶屋からスタートすることにした。7カ所の見どころを逆に歩いた次第。

天下茶屋は堺筋線の終点。駅から東へ歩き紀州街道を渡る。街道と言われてみれば、昔はそうだったのかと思えなくはない。以前一度来たことのある聖天山しょうてんやま公園から正圓寺しょうえんじへ。敷地内に廃墟のようなコンクリート建造物があって、寺は殺風景だ。山門そばに兼好法師の隠棲庵いんせいあん址碑しひがあり、すぐ近くを松虫通りが走る。

このあたりは阿倍野区。上町台地の最西端の崖のへりで標高20メートル(ちなみに台地の最北端に位置する大阪城の標高は32メートル)。へりの西側は西成区で土地は15メートルほど低い。

上町台地の最北端の大阪城から左手のあたりがわがオフィス。難波宮跡の左手、台地のへりのあたりが自宅。黒い「が今回歩いたルート。
階段になっているが、感覚的にはほぼ垂直の崖である。

道路のすぐ下が崖で階段が設けられている。慣れていなければ、この階段の上り下りは容易ではなさそうだ。危険区域と言っても過言ではない。歩いた範囲にはこのような階段が3本あった。

上町台地の一画の住民なので、大阪城はもちろんのこと、南方面の四天王寺やあべのハルカスあたりまでなら歩くことも稀ではない。メトロで行って歩いて帰るか、歩いて行ってシティバスで帰ることが多い。今回は、頭で理解している上町台地を初めて体感した街歩きだったかもしれない。

長州藩志士の墓、五代友厚の墓を横目に歩き、昭和ノスタルジーの象徴的な商業施設「あべのベルタ」前に出る。昨秋だったか、SNSでこの建物の地下に老夫婦が営む寿司屋があると知った。10席ほどしかない店なのに、幸いにして席に座れた。シャリが多めの懐かしのにぎり寿司だった。800円代とは今もさすがのアベノ料金である。店を出たら、待ち人が10人弱いた。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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