自宅からどこかに出掛けて用事を済ませたら、自宅へ戻ってくる。すぐに戻ることもあれば、朝に出て夜に戻る場合もある。用事によっては戻るのが翌日や翌々日になることもある。いずれにせよ、行った手前、戻ってくる。
出掛けたまま戻ってこないことを家出とか失踪とか徘徊と呼ぶ。理由がわからなければ行方不明で処理する。戻るべき所に戻らないのは尋常ではない。「行ってきます」と言って出掛け、戻ってきて「ただいま」と言うのが日常行動のデフォルトだろう。
「行って、そして戻ってくる」のを意識し始めたのは、大阪市の「敬老優待乗車証」を付与されてからだ。大阪市交通局が2018年に民営化され、地下鉄は“Osaka Metro”(大阪市高速電気軌道株式会社)に、バスは子会社の大阪シティバス株式会社に移行した。メトロとバスには1乗車につき50円で乗れる。
優待料金で乗れるのはOsaka Metroと系列の大阪シティバスだけ。阪急、阪神、近鉄、南海、京阪などの私鉄に優待は適用されない。たとえば旧自宅に近い堺筋本町駅から京都河原町駅までは乗り換えなしで準急で行けたが、メトロは堺筋本町駅から4つ目の天神橋筋六丁目駅まで。そこから先は阪急の通常料金が加算される。
他の私鉄に乗らずに、メトロとバスと徒歩で行って用事したりどこかに寄ったりして帰ってくるのが――ゲーム感覚的な――ぼくの行動の基本になっている。改札さえ出なければ、メトロの路線間なら乗り継ぎは何回しても50円。バスは降車したら次の乗車はまた別料金になる。しかし、優待乗車証ならではの特典がある。これを知らないシニアが結構多い。
メトロで行ってバスで帰ってくることが多い。昨日はメトロの御堂筋線の西田辺で乗り天王寺で乗り換えて前の職場の近くの谷町四丁目に行った。所要17分。用事とランチを済ませて大阪歴史博物館にちょっと寄り、NHK前の馬場町でバスに乗り北畠公園前のバス停で降りる。バスの所要時間はメトロの倍の35分。
メトロで行ってバスで帰ってきたら、50円+50円=100円ではなく、50円になる。これが特典である。50円が浮くのは些少なメリットだが、景色の見えないメトロ往復にない半日旅行気分が味わえる。なお、バスで行ってメトロで帰ってきてもいい。バスはあべのハルカスに向かって走る。この場合も往復50円だ。
