シニアたちの晩餐会

数年前から、オフィスの読書室に手製の料理を持ち込んでワインの飲み比べテイスティングの会をしている。大学の24学年の後輩たちがメンバー。集まるのは56名だが、用意するワインは4種類。シニアにしてはグラス4杯はやや飲み過ぎかもしれない。

13ヵ月ほどが開いた。「3月あたりどうですか?」と、ワイン会主宰のぼくに声が掛かった。「オフィス退出の準備で忙しい状況なので、ワインをセレクトしたり手料理を準備したりするのは難しいが、イタリアンかフレンチでの外食ワイン会なら」と告げた。

店と料理で悩んでいたが、コロナ前までよく利用していた近場のレストランを思い出す。フレンチ主体の欧風料理の店、灯台下暗しだった。無理を言って定休日に開けてもらい、一昨晩地元大阪と神戸がそれぞれ2人、名古屋と東京から各1人の6人が集まった。32席ある店を6人で貸し切るという厚かましい贅沢ぶり。


すべてシェフにお任せした。ワインは、発泡酒がスペインのカヴァ、1本目の赤はドイツのピノノワール、白はフランスのシャルドネ、2本目の赤はフランスのメルロー。以上4種。アミューズ、前菜の盛り合わせ、スープ、魚料理、デザート、エスプレッソのコースで、2時間半を越す晩餐会になった。

フランス料理の名称は長い。食材名と調理法と(場合によっては)産地までが含まれる。説明や薀蓄が必須であるが、傾聴しても覚えることは容易ではない。特に、料理の写真を撮って安心し、そして歳のせいもあって、料理の名前がおろそかになる。二晩過ぎた今日、記憶を辿った。だいたい覚えているが、あやふやな点はAIに写真を見せて類推してもらった。

フォアグラのブリュレ アミューズにフォアグラとは驚いた。表面を加熱してキャラメルを焦がし、バターに見立てたフォアグラを熱々のシナモントーストに塗る。
オードブルヴァリエ ムース仕立ての半熟卵(中央)、その上から右回りに、鰯のエスカベッシュ、鯖のエスカベッシュ、キングサーモン、和牛・鴨・鶏のロースト、四万十豚のハム見立て。
チュイル・ド・フロマージュ(カリカリチーズ)と鯛のすり身と大根のアッサンブラージュ、蛸のラグーソース添え
デザートの盛り合わせ クレームブリュレ(焼きプリン)、ストロベリーのジェラート、ガトー・オ・ショコラ

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

「シニアたちの晩餐会」への2件のフィードバック

  1. 今回は所用で参加できなかった今一人のシニアーです。
    いつもと違い今回はレストランで開催されたワイン会ですが、参加された諸氏からも大満足の声が聞こえてきました。
    Le Argentは外観がお洒落で、室内は落ち着いた雰囲気を味わえるお店
    であろうことはアルバムを拝見してわかりました。
    蘊蓄好きのシェフから次々と出されるみごとなお料理とワインの相性も
    ピッタリのようでしたね。

    私個人的には、数えきれない蔵書が書棚いっぱいに並んだ図書室での
    ワイン会が好きでした。テーブルを囲み、岡野さんからいろいろ話していただき、みんなも自由に発言するなど楽しい空間がよかったです。
    今後も、場所はかわってもこうした会は続いて欲しいです。

    これから引っ越しでますますお忙しくなると思いますが、どうかご健勝にお過ごしください。
                              

    1. コメントありがとうございます。
      近年、イタリア料理やスペイン料理がカジュアル化して人気なのに対し、フランス料理は(高級ホテルの名門レストランを除いて)どこも苦戦しているように見受けます。ブログで取り上げたル・アルジャンは本格的なフランス料理の店でしたが、メニューがオフィス街のランチタイムには向かないため、パスタやニョッキなども出すようになりました。なので、欧風料理という看板に変更されています。

      エコール辻(調理師学校)を出てフランスでも修行されていました。ワインに詳しく、シニアソムリエの資格も取られました。料理とワインの蘊蓄が長くて詳し過ぎるので、苛立つ客もいるようです。かつてぼくもフランス料理店のシェフの蘊蓄にうんざりしたことがありましたが、ある時、義父のおごりで帝塚山のポワールでご馳走になった時、義父が「つべこべ言わんでもいい」とシェフに声を荒げたのをきっかけに考えが変わりました。

      フランス料理の名前が長いのは、そこに地産、食材、レシピなどの情報が含まれるからであり、そういう説明と蘊蓄も含めての料理だということ。それは知的啓発的なサービスであるということ。黙ってテーブルに皿を出されるほうこそ不気味で不親切だということ。そういうことに気づきました。

      ぼくも饒舌なタイプなので、講演でも雑談でも情報過多になりがちですが、ことば足らずで誤解や知識の消化不良を招くよりはいいと考えています。情報が多ければ、聴き手が情報を好きなようにフィルタリングすれば済むことですから。

      本に囲まれてのワイン会は捨てがたいですね。残念ながら、数千冊の蔵書のうち引越し先に運べるのは500~600冊。残りは塾生や知人に無償譲渡します。それでもなおかなりの冊数が残りそうなので、古本屋に引き取りに来てもらいます。

      引越し先は大正14年築の古民家です。阿倍野区の北畠住宅群と当時は呼ばれていました。昔の大工さんは仕事が丁寧で、7年前に耐震強化した以外は頑丈です。一部面影を残したリノベーションを明日からおこないます。25坪くらいで延床100㎡未満のコンパクトな家ですが、シニアの生き方として「コンパクトシティでコンパクトに暮らす」がぼくの理想でした。書斎も4.5畳と今よりもかなり狭くなりますが、コックピットのような造りにして読書したり絵を描いたり文を綴ったりして愉しむつもりです。

      ワイン会もできないことはないので、またお声がけします。もうオフィスは作らず、在宅で仕事もしていきます(仕事は逓減状態ですので、そろそろ引き際でしょう)。阿倍野区ですが、駒川商店街まで徒歩20分ちょっとなので、土地勘もあって住みやすそうです。

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