聞き上手の話

話すことに関しては達者だと自負する二人。いつもわれもわれもと喋るので、口論が絶えない。二人は猛省して、『聞き上手』に関する本を読んだ。皮肉なことに同じ書物だった。

後日、精読した二人が再会した。お互い睨みあって一言も発しない。延々と時間が過ぎ、日が暮れた。それでも二人は口を開けようとしなかった。二人が読んだ本にはこう書いてあった。

「相手を尊重して、先に喋ってもらうこと。それが聞き上手の第一歩だ」


聞き上手というのは、質問上手であり、傾聴力にすぐれているということ。寡黙だけれど聞き上手という人にはあまり出会ったことがない。

「議論は知識のやりとり、口論は無知のやりとり」。これは、あるアメリカ人コメディアンのことばだ。以前の二人は無知のくせに喋るから口論になっていたのだろう。無知のまま聞き上手に変身することなどできない。知識をバックボーンにして少々のユーモアで味付けすれば、口論は議論へと止揚する。

人間誰しもわがままに自分に酔う。この習性をよく理解すれば、マーケティングセオリーにも応用がきく。

顧客はエゴイストである。

顧客はナルシストである。