都会から「まち」へ

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都会の断片のほとんどが意味を失ってしまったかのようだ。
都会は意味を示さないまま生き長らえていくつもりのようだ。

断片を必死に繋いでも全貌を現わす気配はない。ぼくは苛立つ。
苛立ちに呼応して、都会も焦燥感を募らせながら鈍い輝きを放つ。

今住むこの都会とどのように折り合えばいいのか、ずっと考えてきた。
折り合えばその正体がうまく暴けるのだろうか、ずっと自問してきた。

いったいどうすれば都会を知ることができるのか。
アスファルトを引き剥がせばその姿は見えるのか。

人工的な覆いの下に眠る土はもはやかつての土ではない。
空気に触れても土が懐かしい匂いを放つことは決してない。

ブラタモリのように地形を現場で検証しながら歩いてみるべきか。
ピースを組み合わせたら都会のジグゾーバズルは完成するのか。

歩くだけならいつも数千歩や一万歩は歩いている。
そぞろ歩きしながら見えざるものを見ようとしている。

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ある日、雑居地帯のように扱ってきた都会を「まち」と呼び変えることにした。
その日から、都会は手招きするように親しげな表情を浮かべるようになった。