肝だめしや力だめしがあるのだから、「ことばだめし」があっていい。難読字を読ませたり書かせたりするのは漢字だめしの一つである。
企画研修で「ことばが違うのはコンセプトが違うから」という話をすることがある。タカとワシは似ているが、コンセプトが違うから呼び名も漢字も違う。生物学的にはまったく同じで、大きめのをワシ、小ぶりのをタカと呼んでいるにすぎない。ちなみに、漢字で「鷹」と「鷲」を書ける受講生は全体の10パーセントに届かない。
熟語を創作したり、ダジャレに興じたり、リズムを遊んだりする。詩作もことば遊びだ。自由につむぐのも遊びだが、型にしたがう定型の詩作もルールのある遊びである。最たるものが、俳句の五七五、短歌の五七五七七、都々逸の七七七五。遊びだから、本来は楽しむ創作。アマチュアならなおさらで、苦しむことはない。
📎 一昨日久しぶりにざるそばを食べた。出雲のそば。今はさほどではないが、十数年前までは麺喰いだった。スパゲッティ、ラーメン、焼きそば、きつねうどん、冷麺、ビーフン、ざるそば、ショートパスタ、つけ麺、ぶっかけうどん……というようなローテーションで、十日連続して昼夜に麺類を食べたこともある。十人十色に倣って「十麺十色」と口ずさんだら、「麺」がうまい具合に「men=人」につながった。
📎 浄土真宗のお坊さんが「明日ありと 思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」という一首を紹介された。「しんらん」の歌である。その時、自問した。しんらんが書けるか? 「親」はわかるが、うろ覚えの「らん」が正確に書けなかった。すぐに調べて漢字を覚え、今では「鸞」が書ける。しかし、これに似た「うぐいす」の漢字は自信がない。
📎 内科で「咳き込みますか?」と聞かれ、「たまにですが、少し」と答えた。その後しばらく、「咳き込みますか?」が「セコムしてますか?」と響いてしかたがなかった。
📎 オフィス街にも「わらび餅」や「石焼きいも」の呼び売りが軽トラックで時々やってくる。先週は焼きいもがやってきた。「♪ いしや~きいも~」だけで終わり、後を継ぐもう一言がないと拍子抜けする。先日の新ネタを耳にした。
♪ いしや~きいも~
♪ とうも~ろこし~
字数も調子も揃えていて見事だった。この録音を流したいがために、トウモロコシも売ろうと思ったに違いない。昔よく耳にした「栗よりうまい十三里」もよくできていた。栗よりが「九里四里」のつもり。九里と四里を足せば十三里になる。