夏だ豚肉だスタミナだ! ②酢豚

豚肉は鶏肉よりもお値段高めだが、牛肉に比べるとおおむねリーズナブルだ。しかし昨今はブランド豚も出回るようになり、ビフカツに負けない高級なトンカツもちらほら見かける。子どもの頃は肉と言えば豚肉で、牛肉はハレの日の食材だった。それでも、外食でトンカツとなるとご馳走感があった。

中高生の頃はご褒美がグリルでの食事だった。人気はトンカツとトンテキ。トンテキもポークソテーも厚切りの豚肉をフライパンで焼く。味の濃いトンテキに対して、ポークソテーは塩コショウしてあっさりめのソースで仕上げる。父のひいきはポークチャップだった。こちらはソテーした豚肉をケチャップとウスターソースを合わせた甘酸っぱいソースをかけたもの。洋食のようだが、実は日本生まれの料理。

いつもトンテキを注文していたが、ある日、父の注文に次いで「ぼくもポークチャップ」と言ってみた。甘さと酸味とソースの濃さがライスによく合い、トンテキよりもよく食べるようになった。好きな中華料理は酢豚がダントツだが、あの頃の洋食ポークチャップの甘酸っぱさが酢豚につながっていると思う。今日の豚肉料理は酢豚づくし。

定番酢豚

スブタと言えば、広東の流れを汲むこの酢豚が定番。野菜は店や料理人によって変わるが、見ての通りのピーマン、タマネギ、ニンジンが標準。パイナップルやタケノコも具材として使われる。迷ったら酢豚、迷わなくても酢豚というほどランチタイムの中華料理店では人気ナンバーワン。昔、ライスをお替りして甘酢のあんをかけて食べる友人がいた。

ステーキ風厚切り黒酢酢豚

黒酢酢豚を注文したら、こんな分厚い一枚肉で出てきたことがある。肉以外には甘酢をやわらげるレモンのスライスがのっているのみ。この一品はフォークとナイフで食べる。面倒くさいが、酢豚の肉は小さいと頼りなく、大きいと食べにくい。それならお好みのサイズにカットして召し上がれということか。黒酢のパンチがとてもよく効いていた。

中国東北料理の満州酢豚

この酢豚に出合ってから、酢豚は豚肉だけを食べるもの、野菜は別になくてもいいものと思うようになった。薄切りの豚肉をカリッと揚げ、そこに透明の甘さあっさりのタレがかかっている。これは酢豚と言うよりも「豚天ぶたてん」に近い。この酢豚を出す店を45店知っているが、どこも半端ないボリュームを盛ってある。

〈続く〉