クローズドな街歩き

午前11:30~午後2:30Open、午後2:30~午後5:30Closed、午後5:30~午後10:00がOpen、そして午後10:00~翌朝午前11:30Closed。これを平均的な食事処は営業/非営業時間帯としている。

居酒屋や焼肉店のほとんどはだいたい午後5:30~深夜がOpen、深夜~午後5:30Closed。バーになるとおおむね午後8:00~深夜2:00Open、他の時間帯すべてがClosed。繁華街や商店街をそぞろ歩きすると、ドアに掛けられた〈Open/Closed〉のサインプレートと時間帯で「街の顔」がある程度わかることがある。

ところで、closedは動詞closeの過去分詞で、形容詞として単独で使われると「閉まっている」という意味になる。発音は[klóuzdクローズド]。なお、closeは動詞以外に「近い」や「似ている」という形容詞でもあり、その時は[klóusクロース]と発音する。

営業中や開店というopenの明快さに比べると、closedのサインは休み、閉店、休憩、営業時間外、準備中のどれを意味しているのかわかりづらい。多義なので一語で何とか伝えようとすることに無理がある。わざわざ行ってみたがclosedのサインが掛かっていたのであきらめて帰る客もいる。実は「只今準備中、まもなく営業開始」のつもりだったのに。


いつぞやの土曜日。早めのランチを終えてから、賑やかな商店街から枝分かれする飲食街に入り込み、どのくらい街が変わり店が変わったのかチェックしながら歩いてみた。。狭い商店街ではあるが、外部に「開かれているオープン」。ところが、開いている店と閉まっている店は半々だった。

土曜日だから終日休みの店が多いのだろうか。それとも、夕方から営業を始めるのだろうか。サインプレートの情報だけではわからない。大文字だけのCLOSEDには容赦のない「閉まっている感」が強い。同じ大文字だけのサインでも鉢植えのグリーンがあれば少しは救われる。救われてどうにかなるものでもないが……。ドアに斜めに掛けられたサインはメッセージ性があって謎っぽい。

営業中の店と閉まっている店。前者よりも無言の後者のほうに視線が向く。そうしてClosedづたいに商店街を通り抜けた時、このあたりは一見向きではなく、店の営業日や営業時間を知る常連が通う飲食街だと悟ったのである。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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