人生後半の自主練

今年もまた、この暑い時期を迎えたオフィスの観葉植物群。春に爽やかなグリーンの新芽を出したと思ったら、ほんの1ヵ月の間にぐんぐんと生長を続けて上方へ左右へと葉を膨らませる。直射日光のない陽当たりのよい場所、ほどよい水やりのお陰と言うだけでは不十分。植物のチカラには奇跡と呼ぶしかない何かが備わっている。

狭い鉢の中での植物の生長ぶりを観察していると、わずかな経験と知識しか持ち合わせていないのに、驚嘆に値する成果を生み出す若い人たちを想う。能力の絶対量が不足していても、固定観念に染まらない発想をしてオトナよりも大きな創造の可能性を膨らませる。

亡き父の姉は先々月に100歳を迎えた。「人生100年時代」が身近なところで現実になりつつある。高齢者の経験と知識は若者を凌ぐ。しかし、日々暇な時間をやり過ごしているうちに、自分だけは大丈夫と思っていた脳と身体の衰えに気づき、根気も失せて身につけてきた経験と知識を十分に生かし切れなくなってしまう。

ここ数年、某企業の依頼に応じて人生100年時代をテーマにしたコラムを書いてきた。加齢してフレイルに陥る高齢者が多いなか、加齢してもますます充実一途の雰囲気を漂わせる少数のシニアがいる。意気軒高のよいお手本になる人たちだ。生きる意欲があるかぎりは、頭を使い身体を動かすことに億劫になってはいけないのだろう。

どうすれば元気にシニアライフを過ごせるかを安直に書くわけにはいかないが、取材や事例や自らの体験を通じていくつかのヒントを得た。

• 人間関係は「つかず離れず」が基本。明けても暮れても共食しない、仲間と群れない。他者に頼らない生き方を基本とし、受けた情けは忘れない。

• 一人の時間に孤独に苛まれることなく、没頭できる対象を持つ。若い頃から嗜んできた趣味を飽くことなく続ける。但し、新しい体験の幅を狭めない。

• 言語生活を活性化する。雑談する、本を読む、傾聴する。とりわけ、日記やノートやメモなどを手書きする。書くことは言語力と記憶力をキープする要である。

他にもフレイル予防の食事やフィットネスがあるが、門外漢なのでここでは取り上げない。人生後半の意気軒高を望むなら、誰かと一緒に何かをする前に、一人で何かをし続ける「自主練」に励むことだ。面倒くさがらずに、マメに、日々新たにワクワクして。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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