懐かしい世界遺産マテーラ

今日は〈週刊イタリア紀行〉はお休み。次回からはペルージャ、その後にボローニャをそれぞれ3回の予定で書くつもり。まだローマを取り上げていないし、写真が少ないために見送っているヴェローナ、ポンペイ、コモ、ナポリなども残っている。

夕方6時のテレビ番組『世界遺産』はバジリカータ州の洞窟都市マテーラだった。実は、ぼくはマテーラにも行った。行ってはいるが、その想像を絶する光景にカメラを構えるのをつい忘れ、撮影枚数がきわめて少ない。それでも10数枚はあるのだろうか。ただマテーラについて帰国後に次のような走り書きの感想を書いている。

マテーラはまるで映画のセットのようだった。ミニアチュアの模型のようでもある。

おとぎの国アルベロベッロとは異なる圧巻ぶりだ。何でこんなものがこの世に存在するのか。対面の山肌には七千年前の洞窟住居跡が見えている。ピラミッドや万里の長城とは違って、この洞窟群では人間たちが日常的に生活していた。日々ここで暮らしていたというのがすごい。

旅人として一瞬佇めば、かくれんぼ遊びの衝動にかられる。だが、実際に暮らすのは大変だ。ここに一夜でも身を投じてみれば洞窟での営みを少しは理解できるのだろうか……。

鳥が岩穴に巣を作るように、かつて人間もこの岩肌に小さな穴を見つけて、身を寄せた。さらにその後、石を切り出して穴を広げたり奥へ掘ったりして、切り出した石をブロックにして積み上げ住居を作っていった。生きる知恵はとてつもないものを築くものだ。


このマテーラの新市街地のバールで、イタリア初体験のアイスコーヒーを飲んだ。イタリア語で「カフェ・フレッド」と注文したら、氷の入っていない常温のコーヒーだった。わざわざ冷やすのではなく、「冷めた」という感覚である。イタリアではフレッド系のコーヒーを注文してはいけないことを学んだ。

TBSの世界遺産は欠かさず見るようにしているし、DVDにも収めている。マテーラについてもサイトではコンパクトにまとめて紹介してくれているので、ぼくの下手な講釈に物足りない人には一読をお薦めしておく。 

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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