見たり読んだり思ったり

📌 大手書店に特設コーナーができて、これでもかとばかりに文庫版『百年の孤独』が並べられている。若い頃に単行本で読み、30代でガルシア・マルケスの他の作品も読んだ。そうだ、もう一度『百年の孤独』を読もうと思った時は見当たらなかった。ダンボールに入れたまま不要品と間違えて捨ててしまっていた。数年前に古書店で単行本を見つけて読んだ。そして、いま最新刊の文庫本も手元にある。
何度読んでもあらすじも登場人物も覚えない。残っているのは風土と空気の匂い、突拍子もない物語と出来事のシーンばかり。今回は文明の5つの利器、磁石、望遠鏡とレンズ、天文学、錬金術、写真術が印象に残る。とても理系的だ。

📌 自民党総裁選の各候補者の決意表明。理屈量の多いことばが耳に入ってこないし、感情量の多いことばは滑稽である。これはことばのせいなのか。もしかして決意なんていうものが、そもそも他人ひとに言うものではないのかもしれない。

📌 「グッドラック!」は、別れ際や離れ際の祈り。その後、実際にどうなるかについては言った本人は関心を示さないし責任も取らない。言われた方も何とも思っていない。

📌 毎日が暑い。暑さが積算されてきて、とんでもない総和になっている。睡眠不足はないが、暑さ疲れで仕事中に眠くなる。歩いていても、食事をしていても、本を読んでいても眠くなる。眠くならないのは眠っている時だけだ。

📌 春に颯爽と出掛けて、その土地の情趣を味わった。夏になると、そこは不毛の場のように思える。行ってみようとも思わない。

📌 『百年の孤独』のせいかもしれないが、本棚からウンベルト・エーコの『バウドリーノ』上下巻を取り出した。『百年の孤独』のページ数を超える大作。いくつかある共通点のうち、特徴的なのが「しつこさ」だ。『バウドリーノ』のしつこさは章立てに顕著である。

 1  バウドリーノは書きはじめる
 8  バウドリーノは地上楽園を想像する
13 バウドリーノは新しい町の誕生を目の当たりにする
16 バウドリーノはゾシモスにだまされる
20 バウドリーノはゾシモスに再会する
25 バウドリーノはフリードリヒが二度死ぬのを見る
32 バウドリーノは一角獣を連れた貴婦人に会う
37 バウドリーノはビザンツの宝物を増やす
40 バウドリーノはもういない