「キノコは菌類で、ジャガイモはイモ類、野菜に含めるのは変だ」と言う人がいるし、そういう説もある。「メロンもイチゴも果物」という分類にも異論が出る。穀物・肉・魚・野菜と大雑把に分けるなら、キノコやイモやスイカやイチゴは生鮮野菜のグループに入る。
7月と8月、暑さに負けないようにしっかり夏野菜を食べた。野菜に関する本も読んでみた。
📖 『身近な野菜のなるほど観察録』(稲垣栄洋著)
主題は「野菜だって生きている」。「野菜が植物であり、生命ある存在であることは誰もが知っていること」と著者は言う。本書では次の43種類の野菜が紹介されている。
キャベツ、レタス、タマネギ、エンドウ、ソラマメ、アスパラガス、タケノコ、ゴボウ、カボチャ、シソ、エダマメ、ナス、トウモロコシ、トマト、ピーマン、トウガラシ、メロン、スイカ、キュウリ、ニガウリ、オクラ、ショウガ、ミョウガ、ネギ、ニラ、ラッキョウ、ニンニク、ラッカセイ、シイタケ、サトイモ、ジャガイモ、サツマイモ、ヤマノイモ、レンコン、イチゴ、カリフラワー/ブロッコリー、ダイコン、カブ、パセリ、ワサビ、ニンジン、ホウレンソウ、ハクサイ
野菜を広義で捉えているので、メロンもスイカもイチゴも、また、シイタケもイモ類も収まっている。このリストから「マイベスト10」が選べるかどうか試してみた。悩みに悩んで選んだが、18種類が残り、それ以上絞れない。ベスト10ではなく、「よく常食している10種」にしてみたら、何とか選べた。キャベツ、タマネギ、トマト、ピーマン、トウガラシ、ニンニク、ネギ、シイタケ、ブロッコリー、ニンジン。汎用性と出番ではタマネギが一番かもしれない。その項には次のように書いてある。
タマネギ|玉葱 ユリ科
涙なしには語れない
📖 『食ことわざ百科』(永山久夫著)
野菜だけでなく、食材全般について書かれている。米や餅、大豆、魚、茶についての記述が豊富だ。
「野菜」の本来の意味は、「野」と「草」と「采る」からなっているのをみてもわかるように、「野」の「草」を「摘む」ことである。(……)日本の「おかず」は、古くから”野のもの”の比重が、たいへんに大きかった。
わが「岡野」の姓は、丘に登って木の実やキノコを採り、野に出ては野菜を摘んだことに由来するに違いない。野菜のことわざでおもしろいのが一つあった。
ねぎは人影でもきらう
「ネギは日当たりのよい畑でないと生育しない。ネギは、少しの日かげもきらう」らしい。このことわざが正しいなら、ベランダの日陰で育てられるネギは気の毒だ。
📖 『イタリアに学ぶ医食同源』(横山淳一著)
イタリアに行き始めた頃は、麦と肉が中心で野菜控えめな偏食民という印象をイタリア人に抱いた。何度も訪れているうちに、そうではないことに気づいた。どんな料理にもよくトマトを使い、ミネストローネにはいろんな野菜をたっぷり入れる。肉料理ではハーブの出番が多く、ポテトやホウレンソウもよく付け合わせる。決してパスタとピザだけではない。もちろん、ワインを忘れてはいけない。
伝統的な郷土料理には、その風土で育ったワインがよき伴侶になる。したがって、トラットリアはもちろん、リストランテにもソムリエは原則としていない。気の利いたカメリエーレ(給仕人)がいれば必要もない。
地産地消を徹底している。ワインは、かつては水の代わりであり、今ではジュースである。食中酒としてのワインは野菜の一種として見立てることができる。