日光を浴び過ぎると皮膚に良くないという人がいる一方で、日光をほどよく浴びるとセロトニンが分泌されるという専門家もいる。どういうメカニズムかを調べて歩くのは野暮なので、セロトニンは何となくいいものだと思うことにして散歩に出掛ける。
北西というおおよその方向を目指す。自宅から北上する途中で二人連れや小グループの外国人に次から次へと出合う。このあたりの外国人観光客は大雑把に言うと西洋人である。彼らは観光地以外のオフィス街にも頻繁にやって来る。職場近くのお好み焼き店では日本人がぼく一人ということも稀ではない。
土佐堀川と堂島川に挟まれた全長3キロメートルの中之島公園もほどよく賑わっていて、ゲームに興じたり弁当を食べたりしているのはいい光景だ。ゴールデンウイークに渋滞の中をわざわざ遠方まで行かなくても、近場にいくらでもいい場所がある。イライラして移動するよりも、芝生に寝転んでセロトニンとやらをいただくほうが心身にやさしい。

バラ園はまだバラ園らしくない。「♪五月のバラ」という歌を思い出す。そう、バラの出番はおおむね五月だ。今は美術館の裏手の川沿いに咲く黄モッコウバラの生長が著しい。

緑が鮮やかだ。緑のグラデーションは目にやさしく、目薬要らず。緑ばかりが続くよりも所々に建物や構造物が点在する光景が気に入っている。

中之島公園の最東端から歩き始めて、川に沿って歩きバラ園と公会堂を過ぎると大阪市役所横に至る。いつも淀屋橋の欄干から今歩いてきた方角を振り返る。

淀屋橋から御堂筋を南下する。歩道と車道の間のスペースを生かして、2、3年前からウッドデッキやベンチやカウンターが設置されるようになった。カフェで休憩するのもいいが、この時期から来月中旬までならアイスコーヒーをテイクアウトしてパークレットでくつろげる。若かった頃の昔の御堂筋はそぞろ歩きする大人のイメージだったが、自分が大人になった今、車線も少なくなって、大通りだった御堂筋は垢抜けした通りになった。