当世ランチ事情――値段と値打ち

ここに書く話は個人的体験と仲間内での見解に基づくもの。全国津々浦々事情が同じでないことを承知している。懐具合の差異によっても認識は大いに変わってくる。

官公庁、オフィス、商業、住宅が立地する仕事場近辺。およそ10年前までは、一部高級店のメニューを除くと、ほとんどの定番ランチは600円から800円のゾーンに収まっていた。しかし、ここ10年のうちにじわじわと50円単位で値段が上がってきた。それでも、ランチ代の相場は1,000円未満にとどまっていた。

洋食レストランや中華飯店では1,500円や2,000円の特別定食を出していたが、それは例外。1,000円を超すランチにはスペシャル感があった。サラリーマン相手の店は1,000円という一線だけは超えないように努力していたと思う。だが、もはや限界。ここ一、二年のうちに、いわゆる大衆的な昼めし処の半数以上が一気にレッドラインを超えた。


京御膳ランチ

モールのレストラン階にある和食店。一昨年くらいまで同じフロア―の全店舗が歩調を合わせてイチオシのメニューを1,000円で提供していた。現在、歩調は合わなくなっている。と言うか、どの店も自慢のメニューを1,000円では出せなくなったのだろう。こちらの京御膳は200円アップした。それでもリーズナブルである。お連れした客人は手厚くもてなされたと感じてくれている。

インドカレーランチ

前は900円、今は1,100円。カレー2種にすると200円アップ、ナンをチーズナンにすると300円アップ、シシカバブをタンドリーチキンに変更したりすると2,000円では済まなくなる。インドカレーは1,000円未満という昔からのイメージを引きずっているので、カレー1種のセットの1,100円は少々高いという印象を受ける。お替り無料のナンを追加して帳尻を合わせる。

牡蠣フライ定食

他店が800円、900円で頑張っていた頃に、早々と1,000円に値上げした海鮮系の店。メインの皿に、刺身のミニ皿と小鉢がつく。この日は牡蠣フライがメイン。まったく割高感を覚えない。遅れて値上げをした他店はこの店よりも高い値付けをしている。一番乗りで値上げをしたが、その後はずっとそのまま。健闘しているので応援したくなる。

トンカツのカツとじ(カツ煮)

日替わり限定30食の店。3年前に初入店した時からずっと850円。具だくさんの丼サイズの味噌汁と小鉢2品がつく。しかも、1145分までに入ると50円割引の800円になる。唯一の難は、メインの皿が豚肉と鶏肉のローテーションなので飽きること。

にぎり10カン/赤だし

オープンしてから78年経つと思うが、それ以来ずっとにぎりセットを650円で提供している。コスパ大賞を授けたいと思う。昼はたまに来るが、夜は来たことがない。昼のお得価格は夜の集客の呼び水だが、はたして成果のほどはどうだろう。なお、節分の丸かぶりの海鮮巻は毎年この店のを買う習わしだが、昨年の1,200円が今年は1,500円になっていた。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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