美術鑑賞とスローライフ

市立の施設に無料で入場できる時、大阪市のシニアでよかったと思う。十いくつもある施設のうち、展示が変わるたびに足繫く通っているのが歴史博物館、くらしの今昔館、東洋陶磁美術館。もっとも啓発されたのが東洋陶磁美術館である。陶磁の分野には疎かったが、何度も訪れているうちに常設展示の器は見たら何かがおおよそわかるようになった。

この美術館は寄贈を多く受けていてコレクションは膨大である。お宝がいくらでも蔵から出てくるという趣だ。今回足を運んだ『MOCOコレクションオムニバス』の展示の大半が初見だった(ちなみにMOCOは大阪市立東洋陶磁美術館の英語名称、The Museum of Oriental Ceramics, Osakaの略称)。どれも印象に残ったが、3点をセレクトした。


彩陶さいとう 渦文鉢うずもんはち  素焼きの土器で、食料の貯蔵や調理・飲食に使われたようだ。この種の彩文土器は中国では彩陶と呼ばれる。赤褐色の地に白い化粧土を施して、黒と赤の顔料で渦巻状の模様を描いている。黄河流域で発掘されたもので、何と新石器時代の紀元前4000年~2500年頃のものらしい。

緑釉りょくゆう 豚圏ちょけん  中国古代の墓に副葬品として納められた焼き物。動物は豚で、円形の空間が豚小屋。そして、その横の建屋がかわや。つまり、便所と豚小屋を一体化した陶器である。今となっては不衛生極まりないと非難されるが、古代では人間の排泄物を豚の飼料としたエコシステムだった。

青磁せいじ かく  酒果しゅか茶果さかを盛った器。三国・呉の時代のもので、南朝になると四角形から円形に変化したという。蓋と一緒、あるいは重箱のように重なった状態で出土した。「かく」で入力しても「槅」の字が出てこない。あれこれ調べてようやく「くびき」で出てきた。大きな皿や容器のことやその間仕切りのことをかいと呼んだ。陶磁を鑑賞していると漢字の勉強になることがある。