季節はある日突然大きく変わるものではないから、十二月一日を晩秋とするか初冬とするかは決めがたい。外に出れば初冬、室内にいると秋の日和。
さて、今日34歳の誕生日を迎えた。この日を迎えたのは、人は人でも法人、つまり創業した会社である。昨年が33歳だったので必然そうなる。
仕事は創業以来一貫して変わらない。一方で企画をしたり文章を書いたり情報を編集したり、他方、出掛けて行って講演したり研修したり。主に言葉を素材とする小さな仕事ばかりだが、テーマやジャンルが広いので、いろんな仕事をさせてもらって何とか今日に至る。少しは技も磨け芸も身についたせいか、ありがたいことに今も出番がある。
仕事というものは仕事そのものを頑張ってもうまくいくものではない。いや、仕事しながらも仕事にべったりしないのがいいと思っている。たとえば、仕事のことばかり考えない。またたとえば、仕事に関する本は原則として読まない。そんな時間があれば仕事と直接関係のない本を読む。そのほうが長い目でじわじわ効いてくる。
今日から読み始めた古今亭志ん生の『志ん生芸談』などもそんな一冊。夏場には桂米朝の上方色の強い『一芸一談』を読んだ。「技芸への目配りなくしてわが仕事深まらず」の思いでこの筋の本もよく読む。書かれていることはさておき、話のリズムがためになる。
凡庸な安定や秩序が続くと仕事は上達しない。時に混沌とし、喜怒哀楽の様々な場面を巡り、紆余曲折を経てこそ力がつき、やりがいも感じる。と言うわけで、多方面の方々からの長きにわたる支えに感謝して、今日から懲りずにまた次へ。
次? その次があまりよく見えていないのだが、それは毎年、毎度のこと。