牛ステーキの焼き加減は?

焼肉とステーキは同じ料理の別の言い方か? ソースや調味料に違いがあっても、どちらも肉を焼いている点では同じか? しかし、「焼肉を食べに行こうか」と「ステーキをおごるよ」は同じではない。さらに言えば、焼肉と呼ぶ時の肉は通常は牛、豚、羊だが、ステーキはその他に鶏や鴨や魚、さらにはコンニャクやシイタケだったりすることもある。

牛肉に限ると、焼肉とステーキはよく似ているが、特徴的な違いがある。外食の場合、たいてい焼肉は客自らが好みの加減で焼く。一方、ステーキは店側が焼くので、店の調理人は客に好みの焼き加減を聞いてくる。客はおおむねレア、ミディアム、ウェルダンのいずれかを告げる。

ユッケ、ミンチ肉のタルタルステーキ、牛刺しなどは、まったく火を通さずに生のまま食す。鉄板であれ網であれ、ステーキには火を通す。薄い肉だと焼き加減は3段階が限界。焼き加減を微妙に調整するためには肉に厚みがいる。厚さが2センチ以上の牛肉なら上図のように、さらに好みの加減で焼くことができる。

レアは肉の表面だけを強火でさっと焼くか炙る。火は中までほとんど通らないので、ナイフで切ると断面は赤い(時に血が滲み出る)。ミディアムはレアの断面にピンク色が残るが、生焼けという状態ではない。ウェルダンは表面もよく焼けていて、切った断面からも赤みがほぼ消えている。

30代前半に勤務していた会社近くに良心的なステーキハウスがあった。同僚のアメリカ人と月に23回足繁くランチに通ったものだ。同僚はミディアムレア一辺倒。ぼくはいろんな焼き具合を試して、その店が仕入れている肉にはレアが合うと判断。その頃から今に至るまで、焼いてもらう場合も自宅で焼く場合もステーキはほぼレア仕上げだ。

そもそもレアの定義が「表面を強火でさっと・・・焼く」と曖昧だ。「さっと」は15秒なのか30秒なのか、肉質と肉厚を見て直感で判断するしかない。裏側の焼き方も焼き時間も悩ましい。いい感じのレアになっているだろうと思って切ってみるとミディアムになっていたりする。

年末に黒毛和牛のステーキ肉を買い、サランラップで包んで数日間寝かせておいた。冷蔵庫から取り出して常温に戻してからクロアチア産のハーブ塩をまぶして、厚めの鉄板で一気に焼いた。頃合いを見て端を一切れカットして焼き具合をチェック。レアの手前のブルーレア状態。すべて切り終えて皿に盛りつける頃に、余熱で理想的なレアに仕上がった。満悦至極。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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