サインプレートの”NO!”

オフィス近くのシーン。公道とマンションの境界をマンション側の敷地内に少し入ったところにサインプレートがある。言うまでもなく、散歩する犬に向けたものではなく、犬を散歩させる飼主に「ここで犬にトイレをさせるな」と注意を促している図である。

手作りだと思っていたが、ネットで売られていた。「ステーク付きの庭のサイン」という商品。ステークだから、地面に杭か支柱を打ち込んであるタイプ。キャッチコピーは「犬があなたの芝生の上でウンチやオシッコをするのを止めます」。犬が自発的に「止める」わけがないから、正しくは犬に「止めさせる」。

犬が今まさにウンチかオシッコをしようとしている瞬間がリアルだ。そこにNOの文字。しかも犬の背中にである。ところで、Noは質問や依頼に対しての否定の返事で、一般的には「いいえ」を意味する。しかし、NOと感嘆符を付けると強い主張が込められる。「絶対ダメ!」と言っているのである。

単発で発するNOには、場面に応じて「まさか!」とか「なんてこった!」などのニュアンスが出る。「まさか、こんな所でもよおすとは……ああ、なんてこった!」と、NOを背負った犬自身の思い? ダメだとわかっていても、つい習性が出てしまった? と読めなくはないが、考えすぎだろう。反対側にはNOの文字はない。つまり、公道側からやってくるよそ者の飼主へのメッセージなのだ。

ところで、ネットの商品説明の続きを読んでみた。「庭や庭で・・・・広く使用されています」(傍点ママ)とか「頑丈な・・・鋳鉄製で、頑丈・・です」(傍点ママ)と念には念を入れて繰り返しているのは、かなり商品に自信があるからか。ぎこちない日本語なので、どうやら日本製ではなさそうだ。「それは、犬と隣人がそのエリアが糞が禁止されているエリアであることを知るための微妙な方法を提供します」という一文で、中国製か近隣のアジアの国で作られたと確信した。

地面に立てられた小さなサインの類にはほとんど気づかずに通り過ぎる日々。NOという一言の小ネタで文章が書けた。サインプレートの効果のほどを知りたいが、誰に聞けばいいのか。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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