久々に日曜日の「磁場」が動いたような気がした。午前10時から午後3時頃までの半日外出しただけで、ともすれば無為に過ぎてしまう休日が有意義な――しかし即興的な――時間割で彩られた。
中之島バラ園に足を運んでみた。自宅から徒歩20分。詰めかけた人たちで賑わっているものの、まったく混雑感はなく気分爽快である。この一枚は「キャンドルライト」と命名された薔薇。咲き誇る花もいいが、脇役の蕾が主をいっそう引き立てる。明日は自分が主役になるのだろう。
三脚で赤い薔薇を撮影する年配の男性。「マニュアル調整ですね?」と聞く。まずまずのデジタルカメラを持っているが、最近はオート一辺倒。「クローズアップで撮ってもつまらないから、川面の光をうまく取り入れたいと思っているんですよ」と丁寧に答えてくれた。
バラ園を後にして、腹ごしらえに入ったレストランで落ち着くことにした。何度か来ているが、ここは危険な店である。なにしろ自家製の数種類のパンが食べ放題なのである。手を挙げて所望するまでもなく、頻繁に巡回してくる。これが過食を促す。しばしダイエットの身であることを忘れてしまった。
続いて北方面へ。難波橋を歩き渡ると北詰に咆哮するライオン像。高速道路の下、ビル群を背にして大きく口を開けている。何度も通った橋だが、久々に立ち止まってじっくり見つめてみた。このライオンに羽根はないが、ヴェネツィアはサンマルコ広場の獅子像と重なる。
さて、ここからいつもの古書店まではほんの15分。ぶらぶらと歩いていけば、とある家の前でご主人がカメの水槽を大掃除していた。その間、青いバケツで待機させられている。カメラを向けると、これがまた非常に人懐こく、背伸びをしてくるのである。ご主人いわく、「もう相当歳を取ってますよ」。
古書店では掘り出し物の本を7、8冊買った。オフィスにもカフェにも寄り、小物の店にも寄って帰宅する。綴ればキリがないほど中身の濃い、正午をはさんだ5時間であった。