雑談の作法

当初の終了予定の時刻に終わらないのが、会議で一番困ること。特にアイデアを出し合う場合には先がまったく見えなくなることがある。自分で会議を仕切れる時は次のことを心掛けて臨むようにしている。

1, 目的を見失わない
2. 話を繰り返さない
3. ポイントを漏らさない
4. 脱線・寄り道しない
5, 成果を出す

会議など少ないに越したことはないが、やるかぎりは出席者全員が同じ約束事を心得ておくべきだ。会議も仕事の一つだからプロならとことん凝らねばならないこともあるが、同時にプロだからこそ効率も追求しなければならない。

雑談にまで会議と同じように時間効率や目的を持ち込む人がいる。かつて気ままに雑談の場を設けていたが、新しいメンバーが「目的は何ですか?」と聞いてきたことがある。大手メーカーの技術者で、会議漬けにされていた中堅社員だった。

☆     ☆     ☆

雑談の話題や方法など好きなようにすればいいし、成り行きでいい。「雑」なのだから大雑把でよく、ルールなどいらない。但し、『雑談の作法』とタイトルに書いたように、心しておくほうがいいことがある。強制力はない、それゆえに作法。

話のテーマはいらないが、もし決めるならゆるめに定めるのがよく、テーマに縛られないこと。二人、三人、四人……と人数によって、話題の扱い方など雑談は変わる。人数が増えると、集いが二つ三つに分断され、みんなで集まった意味が薄らぎかねない。飲食の懇親会などは八人以上になると、たいていこっちの四人とあっちの四人は違う話をしている。

雑談の場は乗り物と同じ。せっかく参加してくれたのだから、一人たりとも置き去りにしてはいけない。いま話題にしている流れにみんなが乗らねばならない。他人の興味や関心を推し量りもせずに、昨日のゴルフの話で場を独り占めするなどはマナー違反である。

雑談は会議以上の技もいるし場数も求められる。時間のムダのように思うむきもあるが、雑談の入り込まない仕事や生活を想像してみればいい。雑談のない日々がいかに空しいことか。目的を気にせず、成果を求めず……脱線したり寄り道したり、ずれたりぶれたり……こういう作法を気に留めながら、大いに雑談を楽しみたい。

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proconcept

proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

「雑談の作法」への2件のフィードバック

  1. アメリカでは、会議の始まりでも大学の先生の講義でも雑談(雑談の
    基準は難しいと思いますが)から始まるのが定番のようです。
    雑談は、落語のまくらのようなもので、本題に入るためにしっかり
    やるようですね。つまり、ジョークなどを交えて相手(聞き手、会議の
    パートナー)をリラックスさせる。そうすれば自分の言いたいことが
    受けて入れられやすくなる。日本人はこれが意外とへたくそです。

    1. ご指摘の通り、イントロとしての雑談は重要です。いや、全編雑談であってもいいとすら思っています。雑談の大半は「愉快成分」でなくてはいけません。愉快でない雑談は雑談ではない。十年前まで好きなテーマで私塾を主宰していましたが、ユーモアやジョークを散りばめていたら、誰も退屈しませんでした。本来のテーマから脱線しても誰一人文句は言いませんでしたよ。

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