エイジング

人は酸素で生かされ、酸素で老化する。これはジレンマである。生き続けたい、でも老いたくない……ここから不老長寿への願いが生まれ、飽くなき追求がおこなわれてきた。

老化のことを〈エイジング〉と呼び、それにあらがうことを〈アンチエイジング〉と言う。身体が酸化するから老化する、老化したくなければ抗酸化努力をする。アンチエイジングが厚かましいなら、せめてゆるやかに老いて行きたい。これをスローエイジングと言う。


野菜の顔2

以前「36歳の私が夕方40.4歳になっているなんて」という美容液かクリームの広告表現を見かけた。ターゲットが36歳とはよく絞り込まれている。そして、朝から夕方になるまでに4.4歳老けるという実証データも集めたのだろう。

アラフォーを控えた36歳の女性は10時間のうちに4.4歳エイジングするという、聞き捨てならない話である。もし、毎日4.4歳が加算されていくなら、10日もすればただ事では済まないお顔になってしまう。

しかし、この広告コピーの主張が成り立つためには、一晩過ぎて朝を迎えたら36歳に戻っていなければならない。朝は36歳の肌、夕方に一度40.4歳の肌になるものの、翌朝に36歳にリセットされるのなら、美容液を使わずとも完璧なアンチエイジングができているではないか。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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