イタリアの地図を開けると、アドリア海に面した下の方が踵の形に見える。その踵のちょっと上に世界遺産の街アルベロベッロがある。BSの番組で時々特集が組まれるから、ご存じの方もいるだろう。この街を訪れたのは11年前。一泊だけの滞在だったが、一泊すればたぶん十分である。
イタリア語で“Alberobello”と綴る。「美しい樹木」という意味だ。こぢんまりした街に「トゥルッリ」と呼ばれるとんがり屋根の白い家が立ち並ぶ。「まるでおとぎの国みたい」と観光客に言わしめるが、ちょっと観光地化し過ぎたのではないかというのが偽らざる印象である。
土産物店を少し覗いたものの、特に目を引くものはなかった。めったに余計な土産物を買わないが、自分用に忘れないように買うものがただ一つだけある。街の名所を象る小さな置物がそれ。アルベロベッロでも一つ記念に手に入れた。
その置物をコンテで素描し、街の名にふさわしく樹木を添えてみた。実物の住居をスケッチするよりも「おとぎっぽい」雰囲気が出たかもしれない。
Katsushi Okano
Trulli, Alberobello
2004
Conté