起業してから今日で33年。「節目ですね」と言われた。何が節目なのかわからない。
「創業33周年おめでとうございます。心ばかりの品です」。メッセージも行為もよくわかる。
どんな材料でできているのかまったくわからない北欧のグミ。
五七五に七七を足しても俳句が短歌にならないことくらいわかる。
タイ料理店にて。何と何と何を注文したのかはわかるが、何も告げられずにこれが出てきたら、わからない。豚皮のカリカリ揚げ。
「わかる? ほんとうに? きみの言う『わかる』が、ぼくにはわからないなあ」
「わからない? なるほど。きみの言う『わからない』が、ぼくにはわかるよ」
「アメリカには、米国の名の通り米があって、日本には、その英語名ジャパンにパンがあるんだ」。なぜ急にそんなことを言い出したのか、わからない。
コロナの時代にありそうな注意書き、わかる。
▪共用スペースにつき、マスク着用のない会話はお控えいただきますよう、ご理解とご協力をお願いします。
▪こちら〈禁話席〉です。ご協力ありがとうございます。
▪当店は非接触セルフサービス式の無声レストランです。
ホルモンの噛めども切れない歯ごたえにいつ飲み込めばいいのかわからない。
「明後日までに完了のこと」というメモの、明後日がわからない、そもそも何をするのかがわからない。
アイヌをテーマにした映画を観た後に、岩波文庫の『アイヌ神謡集』を読んだ。見開きの左頁にローマ字表記したアイヌ語、右頁に翻訳された日本語。どの行どうしを照合すればいいのかほとんどわからない。