「夏はやっぱりカレー」と言われても、「夏はやっぱりアイスコーヒー」と同じく、特に違和感を覚えない。誰が言い出したか知らないが、暑さとスパイスは相性がいいようだ。では、「カレーと言えばやっぱり〇〇〇」と言い切れるカレーはあるか? 絞り切れないという点では「ない」と言うしかない。
ここ十数年、日本で独自に進化したスパイスカレー。あまり追いかけなかった。それよりも、近場でインド/ネパールカレーを中心に食べ歩いた。何しろ居住区と職場は関西有数のカレー激戦区なので、徒歩圏内でいろいろ賞味できてしまう。インド/ネパールだけでなく、パキスタンやスリランカやシンガポールもある。
ここ数年、ナンよりもライスの頻度が高くなった。よく行くネパールの店ではご飯たっぷりの「ダルバート」。もっとよく行く南インドの店では、土曜日は大盛りのかやくご飯「ビリヤニ」、そして最近の日曜日は「カレーはやっぱりミールス」と決めて店に入る。ダルバートもミールスも、また北インドのタ―リーも、味や盛り方のニュアンスが違うだけで、基本はライスとカレー数種類の定食である。
ひいきにしている店のミールスは、ライスと8種類ほどのカレーの小皿を丸い大きな皿に乗せて出てくる。中央にはパラパラとしたバスマティライスを盛り、その上にパパドという豆の粉を薄く焼いたせんべい。バスマティはジャスミンライスのように香りがなく、カレーで煮込んだおかずとの相性がとてもいい。
小皿のカレーは日替わりでおかずが変わるが、定番はサンバル(豆と野菜の辛酸っぱいカレー)とラッサム(塩酸っぱいスープ)。あとは、ココナツカレーやダル(豆のカレー)やポテトの炒め物、ホルモン煮込みやカボチャなどの小皿もたまに出てくる。カレーとナンを注文すると、1種類か2種類のカレーに小さなライスが付いてくるのが一般的。ミールスなら、ふんだんに豆と野菜と肉を使った味の違うカレーが何種類も楽しめる。
インド/ネパール料理は、ご飯をたっぷり食べさせる。ミールスのいろいろな小皿はご飯をモリモリ食べる仕掛けなのではないかと思う今日この頃である。