💡 「一瞬のひらめきで企画案が出来上がる」なんてことはありません。好奇心や遊び心に促される気づきをコツコツ積み重ね、地味にあれこれと考える。これが発想の基本。奇跡も稀にありますが、期待しないほうがいいでしょう。
💡 正解は、どこかにあるものではなく、そのつど編み出すもの。しかも、一つとはかぎらず、現実世界ではたいてい複数の正解がありえます。有力視される論理的思考や分析的思考から生まれるアイデアは案外月並みです。決して過信してはいけません。
💡 半世紀以上前に、論理一辺倒の「垂直思考」に代わる、柔軟な「水平思考」を提唱したのがエドワード・デ・ボノ。〈A⇢B⇢C〉という順序的な定常処理に対して、水平思考とは論理を脱して「飛ぶ」ということ。誰にでもできる思考ではないですが、近づける道はあります。さぞかし「すごい方法」に違いないと思いきや、普通過ぎて驚きます。それはそうでしょう。日常わたしたちは論理思考で明け暮れているわけではないですから。
✍ 広視野でとらわれなく考える。深く考えようとするととらわれる。浅くてもいいから広く見渡すように考える。
✍ 大きな目的を目指すとマクロ的かつ抽象的に考えてしまう。小さくて具体的なゴールほど到達しやすい。
✍ 何もかも手の内に入れて考えるのは所詮無理。何が重要か――あれもこれもと欲張らずに、優先順位を決める。
✍ 「これが正解だ!」と確信した時に落とし穴が生まれる。一つのアイデアに安心せずに、代案やオプションを捻り出す。
💡 発想の質――ひいては企画の質――は膨大なルーチンワークの積み重ね、同じことの繰り返しによって高まります。職人さんの経験・熟練と同じ。日常的な経験値が多いほど気づきも多くなります。毎日同じ道を歩いている人ほど変化をしたためやすいのです。
💡 発想のスキルはいきなり身につきません。また、仕事中に身につくだけではありません。生活のスタイル、癖や習慣、教養や雑学がスキルに反映します。面倒臭がらないこと。細やかに気遣いすること。記録し記憶すること。そして、社会とのアナログ的距離感覚をおろそかにしないことがたいせつです。
(岡野勝志『企画発想術講座(初級)』のイントロより)