見たこと、聞いた話

インド人? ネパール人? パキスタン人? スリランカ人?……顔や体躯を一目見ただけでは区別がつかない。彼らをまとめてぼくは「インド人らしき・・・人」と呼ぶ。大阪のインド料理店で働いているのはパキスタンやネパール系の人が多いと聞いたことがある。店で「あなたは何人ですか?」と聞いて確かめていないので、真偽はわからない。

近くのインド・ネパール料理店の店長はネパール人。自らそう名乗った。かなり食べ慣れたのでインド料理とネパール料理とスリランカ料理の違いがある程度わかるような気がするが、違いを説明するのは難しい。どの店に入ってもいろいろと尋ねるが、答えもいろいろ。一口に日本料理と言ってもいろいろあるのと同じ。

ぼくの住む街ではインド人らしき人とよく出会う。ステレオタイプな印象になるが、女性は小柄でさっさと速足で歩く。男性は細身で髭を生やしていて、たいてい自転車を漕いでいる。そして、イヤホンをして電話をしている。何だかんだと早口で割と大声で喋っている。


同じマンションに数年前までインド人A氏が奥さんと住んでいた。夫婦二人暮らしだが、よく友人が遊びに来て食事をしていた。A氏の5階からぼくの8階まで香ばしいスパイスの匂いが上がってきて、誘ってくれないかなあと願ったものだ。男の子と女の子がいて、インドで学校に通っている。つまり、両親とは別居。長期休暇になると日本で両親と暮らす。

A氏とはエレベーター、エントランス、道でよく会い、会えば英語と大阪弁で話を交わした。「先週テレビで見ましたよ」とぼく。「あ、見てた? そう、神戸の教会やね」とA氏。インド人のシーク教徒が礼拝する教会とのことだった。ちなみに、A氏はいつもターバンをしていて濃くて長い髭をたくわえている。

A氏によると、ターバンを巻く男性はシーク教徒のみで、髪も生涯切らず、髭も伸ばすばかりでまったく剃らない。シーク教徒は人口の2パーセントにも満たないのだから、ターバン組は少数派なのだ。日本人の抱くインド人の風貌のイメージは固定観念だった。「インド人と言えば、ターバン」などと言うと、ほとんどのインド人がびっくりする。

A氏の奥さんは、いつ見てもエコバッグからはみ出るほどのニンジンを買い込んでいた。インド料理にニンジン? といぶかったものだが、後年、スパイスの効いたアチャールという漬物だと知る。味こそ違うが、インド料理でもネパール料理でもスリランカ料理でも添えられたり小さな壺に入れてテーブルに置いてあったりする。インド人らしき人たちはみなアチャールを食べる。ぼくにとってもアチャールは福神漬けのような存在になった。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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