厳暑の日々の二字熟語遊び

今日のテーマは「日」。日を含む二字熟語をつないでみた。ある日が次の日にリレーする。日は別の漢字とくっついて、様々な日々の様相を呈してくれる。〇△の二字を△〇にするだけで、これまで馴染んだ熟語に新しい顔と意味を見つけることがある。

日毎ひごと毎日まいにち
(例文)
「焼けつくような天気が毎日続きますねぇ。冷たいのが恋しい」
「ええ、日毎暑さがつのります。かき氷目指して甘味処によくお邪魔しております」

日毎と毎日の意味は同じである。日毎は、毎日のやや文学的な言い回しと思えばいい。「日ごと夜ごと退屈している」と「毎日毎晩退屈している」はニュアンスと印象がだいぶ違う。ところで、毎日新聞を日毎新聞としたら、記事の文体も変わるはずである。

日曜にちよう曜日ようび
(例文)
「遅まきながら、“日曜日”が上から読んでも下から読んでも“にちようび”だと先日気づいたよ」
「月火水木金土ときて、次の日をわざわざ日にしなくてもよかったのに……。“天曜日”がカッコいいと思う」

夏休みのような長期休暇中は毎日が日曜みたいなものだから、曜日の意識が薄まる。曜日は空海が唐の時代にわが国に伝えたと言われている。主として吉凶の占いが目的だった。今のような週と曜日が始まったのは太陽暦と週休制が導入された明治6年らしい。

中日なかび日中にっちゅう
(例文)
「大相撲の中日のチケットが手に入ったけど、行ってみるかい?」
「それはいいねぇ。日中の早い時間に行って序ノ口や序二段から観てみたい」

中日はドラゴンズのことではない。野球ではなく、大相撲の八日目を指す。また、興行期間の長い芝居の公演の真ん中の日も中日という。日中にも、日が高くのぼり始める午前10時頃から午後3時~4時までという慣習的な定義がある。

数日すうじつ日数にっすう
(例文)
「こんな内容だけど、受けてもらえるかな? できれば数日以内に……」
「いやあ、ちょっと無理です。そのお仕事なら、日数をいただくことになります」

数日は慣習的には34日、時に56日で、よほどのことがないかぎり、2日や8日、9日ではない。明確に何日とは言わないが、以心伝心的にはお互いが承知している。数日が短くて日数が長い感じがするから、「数日ほど日数をいただきます」は誤解を与える。


〈二字熟語遊び〉は二字の漢字「〇△」を「△〇」としても別の漢字が成立する、岡野勝志が発案した熟語遊び。大きく意味が変わらない場合もあれば、まったく異なった意味になる場合がある。その類似と差異を例文によってあぶり出して寸評しようという試み。なお、熟語なので固有名詞は除外。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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