原稿用紙5枚分の年賀状

大なるものに節目をつけたり、大なるものを小さなカテゴリーに分けたのは、分からないものを分かるためのようである。たとえば、一本の木を、根、幹、枝、小枝、葉、果実……と分けた。分からないから分ける、上手に分ければ分かるようになる。すなわち、分けることが分かるための方法であった。なるほど、「分ける」と「分かる」が同源だということにうなずける。但し、下手に分けてしまうと、ますます分からなくなって混乱する。

人類は何の節目もない時間の流れに印を刻んだ。一年という単位を考えて、それを365日に小分けした。一日を24時間に刻み分け、一時間を60分とし、一分を60秒とした。一年を春夏秋冬と四つに分節もした。わが国の陰暦では、四季をさらに細かく大寒、春分、冬至など二十四節気に分けた。

自然界では温暖寒冷などの変化はあっても、本来そこに1月だの8月だの12月だのと言うものはない。にもかかわらず、師走になると慌ただしいと人は言う。時はつねに一定で、12月になったからと言って、急いで流れることはない。師走に抱く観念が、人を慌ただしい気分にさせているにすぎない。「今月に入ってから時間が経つのが早いねぇ」と感じさせているにすぎない。


2014年年賀状 

師走は年賀状の文案や図案を考える時でもある。定番テンプレートの一つを選び、「賀正」、「あけましておめでとうございます」、「謹賀新年」、「初春のお慶びを申し上げます」などの、これまた定型挨拶を書き込んで、干支を配しておけば悩むことはない。毎年いただく半数の年賀状はそのような体裁のものである。それを芸がないなどと言うつもりもない。

ぼくの場合、公私両用の年賀状を同一形式で20年以上飽きずに続けている。四百字詰め原稿用紙に換算すると5枚分に相当する文字をはがきサイズにびっしり詰め込む。テーマは毎年違うが、新年の干支にちなむような内容ではなく、正月の色を醸し出すものでもない。

写真の年賀状は2014年のものである。オリジナル原稿はA4判、ワードで作成し、それを当社のスタッフがはがきサイズのデータとしてイラストレーターで仕上げる。この癖のある年賀状にはまずまずのファンがいるらしく、解読するために虫眼鏡を買ったとか、コンビニのコピーサービスでA4判に拡大するとかという人もいる。某大企業の部長などは、仕事始めの日の朝礼ネタにしているという。

本日、2015年度の年賀状原稿を書き終えた。来週早々に印刷が仕上がる。構想一年、執筆半日。テーマは読書だが、毎度バカバカしい切り口と展開である。

投稿者:

アバター画像

proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です