日にちのこと

「日にち」はある意味で冗長な用語だ。「日」と書けば済むのだが、それだと頼りなく感じるのだろうか、敢えて「ひにち」と言う。漢字で書くと「日日」。これは見た目が感心しない。しかも「ひび」や「にちにち」と読まれてしまう。ゆえに「日にち」に落ち着く。

「年末年始は1230日(土)から14日(水)まで休みます」。店側の休業日程を知らされてもあまり役に立たない。結局、忘年会や新年会の日にちを決める時には、いつまでやっているのか、いつから始まるのかに置き換えることになる。それなら、「年内の営業は1229日(金)まで。新年は15日(金)から営業します」と書くほうがいい。

特定の日取りや日付は、その一日だけわかればいいから明快である。しかし、日にちと日にちをまたぐと飲み込みに少々時間がかかる。「○日ぶり」や「○年ぶり」の解釈が人によって異なることがよくある。たとえば、元日に会って7日に再会したら「6日ぶり」と言うのだが、いちいち頭でそんな計算をせずに、適当に一週間ぶりと言ったりする。


サッカーの試合が土曜日にあり、次の試合が水曜日だとする。何日ぶりと言うか。中3日なので「3日ぶり」と言う人がいる。また、土、日、月、火、水と5日にまたがっているので「5日ぶり」と言う人も稀にいる。正しくは「4日ぶり」だ。XデーからYデーまでの経過を「~ぶり」で表現する時は「(Y-X)ぶり」と言うのである。X15日(土)でY19日(水)なら、「19-15」で4日ぶりになる。

2001年に同窓会があり、ずっと顔を見せなかったクラスメートが久しぶりに2017年の同窓会に出席したら、「2017-2001」で16年ぶり。毎年出席していた会合に昨年欠席して今年出席したら、2年ぶり。抜けたのは一年だけだが、2年ぶりと言うのである。

「やあ、ごぶさたしています。かれこれ4年ぶりですね。」と言われて、4年会っていないと早とちりしてはいけない。Xデーの元日に会ってYデーの大晦日に再会したのなら、ほぼ5年経っている。Xデーの大晦日に会ってYデーの元日に再会すれば3年である。実質会っていない日数は4年ぶりと言うだけではわからない。確かなことは、会わなかった年が3年あったということだけである。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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