メモの中のメモ

SNSで投稿したりコメントしたりした一文は一過性の運命を背負って消えていく。なんだかせつない。即興の文章とは言え、書いた直後にハッと気づくことがある。その一文から発想が広がりそうな予感がする時もある。そんな時は、とりあえずメモアプリに流し込んでおく。メモはお金以上によくたまる。


 アッシジのフランチェスコのように放蕩三昧する勇気もなく、居直って無為徒食もできない。かと言って、日々刻苦精励しているわけでもない。おおむね人は中途半端に生き長らえていく。

 日が長くなり、昼が夕暮れにバトンタッチする時間が午後6時を回るようになった。

 桜が芽吹こうとしている。この堅い芽がやわらかい花びらに変身する。やさしく咲いてははかなく散るの繰り返し。人知を超越したこんな現象に出くわすと、精神が神妙ということを思い出す。

 ぼくはね、未だ女装と人を踏み台にしたことがないんですよ。

 満月を二日後に控える月を「不満月」と呼んでみる。

 カニは人を寡黙にし、カキは人を饒舌にする。

 自ら人に働きかけず人と関わろうとせずに知らんぷりする人生よりも、面倒臭そうにされてもお節介する人生のほうがいいと思っている。それが間違っていないこと、いや、肯定すらできるということを『おみおくりの作法』という映画が教えてくれた。

 「豆単」などと言っても知らない人が多い。川柳を作ってみたのだが、はたしてわかってもらえるのだろうか?

Abandon 覚えて豆単 放棄する
豆単を売った赤尾の一人勝ち

 今となっては必要としなくなったすべてのものが、生まれた意味を否定されていいはずがない。人もモノも考えも、そして食べ物も。

ぼくは伊勢うどんを一度食べた。そして、それが最後になった。つまり、もう食べないし必要ともしない。しかし、時にその味を批判しながらも貶し過ぎないように心掛け、その存在に寛容であり続けたいと、まるで神のような境地に到ることができた。ありがとう、伊勢うどん。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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