今日は「上、中、下」で遊んでみた。
【 上船 と 船上 】
(例文)「陸から船に乗り込むのが上船。いったん上船したら、下船しないかぎり船上にいることになる。船上にいると言えば、説明しなくても船中にいることを意味する。」
船上とは文字通り船の上のことだが、船に乗っている状態である。船上で食事と言っても、必ずしも船のデッキに出て食べているとはかぎらず、船室内での食事かもしれない。
上船は船に乗り込むという一義以外に意味はない。しかし、船上は多義語である。なお、上船は乗船とも書く。ほぼ同義である。
【 道中 と 中道 】
(例文)「道中、行く先々でいろいろなハプニングがあったが、極端に無理をせず、まるで中道を歩む修行僧のごとくやり過して無難に長旅を果たした。」
中道という用語を見聞きすることが少なくなった。左でも右でもなく、極端に走らずに穏当であることが中道だ。無難で特徴がないと皮肉られることもある。
他方、道中とは長旅や行程のこと。道中という語感は行く先々の土地柄やエピソードを連想させる。『東海道中膝栗毛』をテーマにした道中双六は滑稽だろうが、中道双六があるとしても、イデオロギーや政治の話ばかりではさぞかし退屈に違いない。
【 下地 と 地下 】
(例文)「いい仕事に就きたければ、技能や教養の下地を整えなさい。秘密組織に入ったりトンネルを掘ったりレアメタルを掘り当てたりしたければ、地下に潜りなさい。」
何かを最終的に仕上げる前段階として下地という準備がある。見た目、それは仕上げの面の下に隠れている。壁の下地も化粧の下地も隠れている。
下地と同じく、地下も地面の下に隠れているので直接見えない。隠れていて見えないものには怪しいものが多いが、稀に大当たりもあるから地下に行く者は後を絶たない。
〈二字熟語遊び〉は、漢字「AB」を「BA」と字順逆転しても、意味のある別の熟語ができる熟語遊びである。例文によって二つの熟語の類似と差異を炙り出して寸評しようという試み。大きく意味が変わらない場合もあれば、まったく異なった意味になることもある。熟語なので固有名詞は除外する。