最初のオリンピックの記憶は1960年のローマ大会である。その4年後の1960年の東京大会はしっかり見た。日本人選手の金メダリストが全員言えるほど今もいろいろ記憶している。学校でサブノートのような五輪ガイドが販売され、それをいつも手元に置いていた。競技/種目別の金銀銅のメダリストとその国名を書き込めるようになっていた。
さて、パリ五輪もいよいよ最終盤となった。よほどのことがないかぎり、深夜に五輪観戦しないと決めていたので、テレビを見るのは夕方から零時までだ。
スポーツを見ていていつも思うのだが、柔道・レスリング・ボクシングのように体重別に階級が分かれる競技はあるが、身長別に階級を分ける競技はない。身長に関しては誰もが無差別級で闘うことになる。体重差は競技に影響するが、身長差は関係ないという見立てだ。
下記は競技別男子の平均身長である。
プロ野球選手(日本): 179cm
バスケット(世界): 192cm
サッカー代表(日本代表): 178cm
バレーボール(日本代表): 190cm
ちなみにMLBドジャースの大谷翔平は193cm。バスケット日本代表のホーキンソンは208cm。その横に体操で金3個の岡慎之介(155cm)を並べると、倍も違わないけれど、倍以上違うように見えるはず。6月に心斎橋を歩いていたら、バレー日本代表の山内晶大を見掛けたが、204cmがどれだけ目立つ存在か思い知った。
周囲に200cm越えの「日常的存在」はいなかったし、今もいない。学生野球をしていた遠戚が一番の高身長で、たぶん185cmだった。
先週末、レストランで食事を終えようとしていた時、グループが入店してきた。一人が店内を見渡すが席はない。すかさず立ち上がって「もう出ますから、どうぞ」と声を掛けた。後に続いていた中に巨人がいた。「なかなかこんな人には会えない」とつぶやいたら、グループみんなが微笑んだ。「デカいねぇ、何かスポーツやってた?」と月並みに問えば、「バスケットです」と想定内の答え。「今は会社員」と言う。「あ、そう、背が高いだけの会社員?」と、もうちょっとで言いそうになった。
昔、関東に玉川カルテットという浪曲漫才があった。メンバーの一人が身長145cm。浪曲調で「♪ 金もいらなきゃ女もいらぬ わたしゃ も少し背が欲しい」と歌った。身長が売買できるなら、ただ背が高いだけの会社員の25cmを浪曲師に売れば、175cmの会社員と170cmの浪曲師としてハッピーになれるだろうか。
背の高い人はみんな頭をよくぶつける。もう一つ、うんざりするのは「何かスポーツやってた?」と尋ねられることらしい。あの200cmの会社員はうんざり顔をしなかった。聞かれるのを喜びとする人がいても不思議ではない。